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2013/03/30/Sat.下級砲兵将校

砲弾のない砲を、あるいは爆破しあるいは捨てたため、多くの下級砲兵将校は、自決し自決させられ、また死地に出されて帰らなかった。前述のように砲兵は「……火砲ト運命ヲトモニスベシ」であり、砲を失ったら、少なくともその直接責任者である下級将校は、生きていてはならない。これは、「刀は武士の魂」と武器を神聖視し、これを奪取されれば切腹を強いられた徳川時代以降の伝統と思うが、その点では砲兵も、乗機と運命を共にする「特攻」と変わりはなく、特攻だけが特異な現象ではない。

(山本七平『一下級将校の見た帝国陸軍』「敗戦の瞬間、戦争責任から出家遁世した閣下たち」)