OLETF ラットは closed colony の Long-Evans ラットから開発された、II型糖尿病 (type II diabetes) のモデル動物。多飲、多食、肥満、糖尿などの病態を有する。主な特徴は以下の通り。
OLETF ラットの糖尿病は、複数の遺伝子によって発症している。X 染色体に Odb1、第14番染色体に Odb2 がマッピングされた。これらの糖尿病発症遺伝子は共同で作用することによって、OGTT における血漿グルコース濃度を顕著に上昇させた。Odb2 の候補遺伝子は cholecystokinin A receptor (CCK-Ar)。
OLETF ラットには高 FFA (free fatty acid; 遊離脂肪酸) 血症は認められないが、高 TG (triglycerol; トリグリセロール) 血症が、高血糖や高インスリン血症に先行して認められる。OLETF ラットでは、高 TG 血症に伴って膵ラ氏島に TG が蓄積し、インスリン分泌が低下している。インスリン分泌異常がまだ認められない 6週齢の OLETF ラットから単離した膵ラ氏島を TG とともに培養すると、TG は膵ラ氏島で顕著に蓄積された。OLETF ラットの膵ラ氏島には TG の取り込み異常が存在し、高 TG 血症が糖尿病発症原因の一つになっている。
II型糖尿病患者に抗 TG 薬を投与すると、インスリン感受性 (insulin sensitivity) が増加する。血中 TG 濃度は EPA (eicosapentaenoic acid; エイコサペンタエン酸) によって低下する。EPA はまた、内臓脂肪 (abdominal fat) の蓄積を抑制する。OLETF ラットに EPA を長期投与 (1.0 g/kgBW/day, 5-28th week) すると、血漿 TG、コレステロール (cholesterol)、リン脂質 (phospholipids) 濃度が低下する。また、肝臓 TG およびリン脂質濃度も低下する。さらに、内臓脂肪も減少する傾向がある。GIR 値と空腹時血漿 TG 濃度との間には相関関係があり、血中 TG 濃度が低下するとインスリン抵抗性が改善する。