- MHP2G: 月刊誌『狩りに生きる』フィールド情報

雪山

『ミナガルデ地理院報告書 —1—』

私はミナガルデ随一の地質学者であ〜る。この項は、この世界のあらゆる土地について調べた、私の研究結果について記すモノであ〜る。

第一回は《雪山》についてであ〜る。一年中、白銀の雪で覆われたこの地は、ハンターにとっても、モンスターにとっても極めて過酷な地であ〜る。

なにしろ寒い! ギルドがベースキャンプを設営した麓はともかく、山頂付近も中腹の洞窟も、軒並み寒い。寒さ対策として一般的なのは、《ホットドリンク》を飲んで、身体の中から暖めることだが、山頂付近ではそれも通常の半分程度の効果しか期待できない。

余談ではあるが、この雪山の近くに位置する《ポッケ村》では、非常に優れた防寒具が作られている。これを着込んでおけば《雪山》といえど、寒さを感じることはないであろう。日常品ではさほどの防御力はないが、高級品になると、ある程度の防御力が期待できるとか。

このように過酷な地であるが、自然は実にたくましい。この地の名産の《雪山草》は、寒さをものともせず雪山のあちこちで見かけることができる。精製することで非常に滋養の高い薬湯となるため、ギルドでも優先的に買い取っている。

動物も負けてはいない。この地に生息する《ポポ》や《ガウシカ》は、寒さに適応するため、厚い毛皮に覆われている。それらを主食とする《ブランゴ》《ギアノス》も、暖かい地に住む同種のものと、遜色のない運動能力を発揮する。

また、通常寒さに弱い虫も、ここでは独自の適応を見せており、崖の中腹や洞窟の突き当たりなどで、ハチミツすら採取することが可能だ。《ランゴスタ》も、少数ながらその姿を見ることができる。

《雪山》で注意すべきなのは、牙獣種の《ドドブランゴ》であろう。《ブランゴ》を多数従え、集団での戦闘は、飛竜種すら逃げ出すといわれる。また、近年新たに報告された飛竜、《ティガレックス》もしばしば《雪山》で目撃されており、注意が必要である。

この山に訪れることがあれば、ぜひ一度は山頂まで登ってみて欲しい。眼下に広がる雲海に、誰しも息をのむだろう。山頂付近の岩棚から、頂上に至るルートは、狭く険しいが、途中には名物ともいうべき、古龍種の抜け殻があるなど、見所も多い。

【その他の特産品】

《フルフルベビー》
山頂付近の、古龍種の抜け殻に巣くう、飛竜種の幼生。高額で取引されるが、噛み付きには注意!

《セッチャクロアリ》
麓の湖岸で見られる虫。素材としても優秀。

《氷結晶》
随所の採掘ポイントなどで入手可能。用途は広い。

密林

『ミナガルデ地理院報告書 —2—』

私はミナガルデ随一の地質学者であ〜る。この項は、私の長年の研究結果について記すモノであ〜る。連載2回目は、《密林》についてであ〜る。

南北西の3方を湖に囲まれた密林は、温暖で過ごしやすい気候のため、草食動物はもとより、それを捕食する肉食動物も多く繁殖する豊かな土地である。ここの特産キノコは人気が高く、特にそれを求めた依頼がギルドに頻繁に出されている。

中央部に広がる広大な洞窟は、開放的で通気性が高いため、過ごしやすく、ここを巣としているモンスターも多い。卵を入手したければ、ここを探してみるといい。ただし、崖などの段差が多いので、卵を運搬する際には、ルートを十分吟味する必要がある。

北側には小さな島があり、潮の関係で、昼間であれば歩いて渡ることも可能だが、夜間には、近づくことはできない。特に島でしか採れない素材はないが、武具の素材となる《セッチャクロアリ》や、精算アイテムの《きれいんが貝殻》は期待できる。

注意すべきモンスターは、《ヤオザミ》や《ダイミョウザザミ》などの甲殻種であろう。主に沿岸部に生息し、地中に潜んで頭上を通る者襲いかかる場合もあるので、常に細心の注意が必要である。また、《コンガ》や《ブルファンゴ》などの牙獣種も、警戒すべき相手であるといえよう。

上記以外に、注意すべきは《ランゴスタ》、《カンタロス》といった巨大昆虫である。普段から多くみられるが、しばしば大量に発生し、付近に甚大な被害を与えている。これらを駆除する依頼も多く出されているようだ。

【その他の特産品】

《黒真珠》
甲殻種が体内で生成する真珠。素材としても優秀で湖岸に落ちていることも。

《セッチャクロアリ》
湖のキャンプ付近に棲む巨大なマグロ。

《ロイヤルカブト》
輝く甲虫。湖岸付近で、特に多く繁殖している。

砂漠

『ミナガルデ地理院報告書 —3—』

私はミナガルデ随一の地質学者であ〜る。この項は、私の長年の研究結果について記すモノであ〜る。連載3回目は、《砂漠》についてであ〜る。

《砂漠》は、峻険な山に囲まれた岩場地帯と、広大な砂漠地帯をあわせたフィールドである。注意すべきは砂漠地帯で、昼夜の温度差が非常に大きい。昼には灼熱の太陽に照りつけられた熱砂が、夜には急激に冷え込み、寒冷地へと変貌する。

ここに足を踏み入れるのであれば、クエストによって異なる昼夜に気を配り、昼ならば《クーラードリンク》が、夜であれば、《ホットドリンク》が必須であるといえよう。ただし、中央部岩山の地下に広がる地底湖は、昼夜を問わず、非常に寒いので注意。

この地では、解毒作用をもつ《サボテンの花》や不思議と力がわき起こる《怪力の種》、発火作用をもつ《火薬草》などが採取できる。また、《熱帯イチゴ》はそのままでは食べるに値しないが、凍らせることで、ほてった身体をクールダウンし、滋養をつける効果が期待できる。

注意すべきモンスターは、砂竜と呼ばれる魚竜種である。この辺りの砂はとても粒が細かいため、それを利用して砂中に潜ることができる。この時は背ビレしか見えないので、注意が必要だ。

また、角竜と呼ばれる飛竜種も目撃されている。巨大な角を持つ、非常に強力な飛竜だ。その他にも、地底湖で水竜を釣り上げた!などという噂もあり、その真偽も確認中であ〜る。

【その他の特産品】

《黄金魚》
砂漠に挟まれたオアシスや地底湖に生息。高価。

《キラビートル》
上記の水場付近で見られる虫。極めて貴重。

《魚竜のキモ》
魚竜種から採れる珍味。魚竜を倒すのは大変だが、それだけの価値はある。

沼地

『ミナガルデ地理院報告書 —4—』

私はミナガルデ随一の地質学者であ〜る。この項は、私の長年の研究結果について記すモノであ〜る。連載4回目は、《沼地》についてであ〜る。

じめじめとした沼沢地、霧に覆われた狭隘な土地からなる《沼地》は、いくつかの洞窟がある事も特徴の一つである。洞窟は非常に寒く、防寒対策がないとスタミナを早く消耗してしまう。一方で、良質な鉱石を産出するため、ここを訪れるハンターは多い。

防寒対策として代表的なモノは、《ホットドリンク》を飲むことである。身体を内側から暖めることで、スタミナの急減を抑えることができる。それ以外に、保温性の高い鎧を着ることでも、同様の効果が期待できる。

この地ではその湿度の高さから、キノコ類が豊富に採取できる。《毒テングダケ》や《ニトロダケ》は、その主要な産物といえる。様々な調合に使えるそれらキノコ類は、ハンターにとって必需品である。

夜間には、沼地の一部から毒性の高いガスが吹き出しており、足を踏み入れただけで、毒に侵されるという。また同時に、《イーオス》や《ゲリョス》などの強力な毒をもつモンスターも多く確認されており、毒対策が重要なウェイトを占めるであろう。

この地には、《イャンクック》や《ゲリョス》などの比較的小柄な飛竜から、《グラビモス》や《フルフル》といった強力な飛竜が生息している。また、《ショウグンギザミ》などの甲殻種、《ババコンガ》などの牙獣種も多く、踏み込む場合は周到な準備が必要である。

【その他の特産品】

《灰水晶の原石》
洞窟内のクリスタルの鉱脈で手に入る。非常に高価で取引される。

《ライトクリスタル》
同じ場所で手に入るクリスタル。用途は幅広い。

《陽翔原珠》
洞窟の南側付近で採掘可能。装飾品の素材に。

森丘

『ミナガルデ地理院報告書 —5—』

私はミナガルデ随一の地質学者であ〜る。この項は、私の長年の研究結果について記すモノであ〜る。連載5回目は、《森丘》についてであ〜る。

《森丘》は、比較的温暖な気候で、アプトノスやモスなどの草食モンスターも数多く住む、豊かな土地であ〜る。それを狙う肉食モンスター、《ランポス》などもいるが、さほど危険性はない。ただし、群で行動するため、囲まれないよう注意する必要はある。

また、植物類も豊富で、薬草やアオキノコをはじめ、ガンナーに必須のカラの実やハリの実、モンスターをペイントするためのペイントの実など、役に立つ植物が簡単に手に入るのである。

それら以外にも、《ハチミツ》を採ることも可能であ〜る。ハンターにとって、非常に有益なアイテムであるハチミツは、フィールド上にあるハチの巣の付近で手に入るであろう。

山間の地域は段差が多く、移動が困難な場合もあるが、ハンターであれば《背の低い崖》や《壁面に生えたツタ》は、○ボタンでよじ登ることができる。

《森丘》でもっとも注意すべきなのは、《リオレウス》であることは、間違いない。空の王とも呼ばれ、縄張り意識も高く、そのテリトリーを荒らすものには容赦はしない。特に、山中の洞窟を出入りする際には要注意。

また、近年では《チャチャブー》と呼ばれる獣人族の生息も確認されている。他の獣人族とは比較にならないほどの凶暴性をもち、さらにキノコなどに擬態することを得意としているため、ハンターにとって、極めて危険な存在であるといえるであろう。

【その他の特産品】

《飛竜の卵》
山中の洞窟にある、飛竜の巣でまれに見つかる。高価だが、入手には常に危険がつきまとう。

《???》
メラルーの棲家には、雑多なものが転がっている。大小のタルや、時には傘なんてものも…。

火山

『ミナガルデ地理院報告書 —6—』

私はミナガルデ随一の地質学者であ〜る。この項は、私の長年の研究結果について記すモノであ〜る。連載6回目は、《火山》についてであ〜る。

この辺り一帯は、火山岩におおわれているため、ほとんどの草木が死に絶えた、過酷な大地である。特に山頂の《火口》から、北西部の洞窟を流れる《溶岩地帯》では、その暑さゆえに、どんどん体力が奪われてしまう。その暑さは砂漠の倍ともいわれ、《クーラードリンク》の効果もほとんどの場所で半分程度に落ちるという。

当然のことながら、移動にも注意が必要である。灼熱の溶岩に足を踏み入れれば、いかに《クーラードリンク》を飲んでいたとしてもその脚が焦げるのを防ぐことはできない。ただし、スキル《地形ダメージ無効》があれば、足を傷めることはない。ある局面では有用なスキルなので、覚えておくとよいであろう。

一方で、この過酷な環境を生き抜く動植物達も少なくない。特に《火薬草》は、その特性ゆえか豊富に採取できる。また砂漠同様《熱帯イチゴ》も繁茂しており、氷結晶を用意しておけば、《クーラードリンク》が尽きたときに役に立ってくれるだろう。

また、火山の特色として、もっとも大きなものは、その豊富な鉱床の存在であ〜る。岩場や洞窟、火口付近の各所に、採掘可能なポイントがあり、様々な鉱石を掘ることができる。ハンターの中には、これら鉱石を狙って、ピッケルを大量に担いで入山する者も少なくない。

注意すべきモンスターは、鎧竜、岩竜といった飛竜種である。いずれも堅い甲殻に覆われており、おそらくはなまなかな武器では傷をつけることすら困難であろう。

その他によく見られるのは、甲殻種の幼体である《ガミザミ》である。幼体のみの特徴として、毒液を吐きかけることができる。灼熱の火山で、毒状態に陥ることは、極めて危険であることは言うまでもない。その上、非常に攻撃的な性質をもっているため、熟練したハンターといえど、油断は禁物である。

【その他の特産品】

《ドラグライト鉱石》
良質な鉱石。洞窟内で多く見られる。

《ドスヘラクレス》
麓付近の岩場に生息する。非常に貴重。

《紅蓮石》
火口付近でしか入手できない、貴重な鉱石。

『ミナガルデ地理院報告書 —7—』

私はミナガルデ随一の地質学者であ〜る。この項は、私の長年の研究結果について記すモノであ〜る。連載7回目は、近年密林で発見された《古塔》についてであ〜る。

広大な密林に隠された、謎の巨大建築物。雲を突き抜けてそびえる、遠い時代の遺物。誰が? いつ? 何の目的で? それを建造したのか、一切わかっていない。

古い文献の中にのみ、その存在が記されていたが、とあるハンターが、古代から伝わる地図の断片や散逸した文献を丹念に集め、古龍観測局の協力を得て、ようやくその姿が明らかになったのであ〜る。

現在も研究が進められているが、厄介なことに強力な古龍がここを住処としているため、はかどっているとはいいがたい。おそらく完全に解明されるには、かなりの年月を要するであろうといわれている。

古龍は別としても、他にも危険なモンスターが生息している。その代表例は、《ガブラス》であろう。ランポス程度の大きさながら、空中を飛び、毒液を吐き、近接武器では苦戦すること必至であ〜る。

さらに、その特殊な環境から、異常に巨大化した雷光虫、すなわち《大雷光虫》も危険な存在であ〜る。自分から襲いかかってくることは少ないものの、触れたものを麻痺させる特性は、ハンターにとって極めて危険であるといえよう。

一方、研究の結果、この地でしか採れないといった素材は現状では存在しない。素材集めを目的とした探索は、前述の強力なモンスターの存在も併せて考えると、利が薄いといえるであろう。

『ミナガルデ地理院報告書 —番外編—』

私はミナガルデ随一の地質学者であ〜る。今回は番外編として、《ドンドルマ》の街についてであ〜る。

《シュレイド地方》にある、我が拠点《ミナガルデ》から、東の《ヒンメルン山脈》を越えたところに、《ドンドルマ》の街はある。

立地の関係からか、しばしば古龍や巨大な甲殻種などの、モンスターの襲撃を受けており、街が大規模に破壊されることも多い。が、何度破壊されても、それにくじけず、瞬く間に復興する活気と強靭さに満ちた街である。

もちろん、街側もモンスターの襲撃に、手をこまねいているわけではない。《古龍観測局》を設け、常にその動静に気を配り、街の一部を迎撃区画として、《バリスタ》や《撃龍槍》などの兵器を随所に配備している。

いざモンスターに街を襲撃された場合も、ハンターズギルドを中心に、専属のガーディアンとハンター有志が組織的に配備され、迎撃にあたる。そのため、街の運営において、大長老率いるハンターズギルドが強い影響力をもっている。

また、場合によっては周辺ギルド支部への動員要請が出る場合もある。周辺地域のハンター諸氏は、常に召集にそなえておく必要があるであろう。

『ミナガルデ地理院報告書 —特別編—』

私はミナガルデ随一の地質学者であ〜る。この項は、私の長年の研究結果について記すモノであ〜る。今回は特別に、ギルドが管理する《砦》に関する情報であ〜る。

《砦》とは、ギルドが巨龍対策の拠点として用意した、最終防衛ラインであ〜る。《砦》の要所には、見張りのために、幾つかの高台が設けられており、ガンナーであれば、そこから下を通る相手を狙撃することが可能である。

またこの地には、強力な弾を撃ち出す《バリスタ》や《大砲》と呼ばれる迎撃兵器も設置されている。これらは、砦に保管されている弾を運んでセットすることで使用可能だ。

《バリスタの弾》は、普段は×印がついているが、弾を持ってその兵器の前に立てば使うことができる。バリスタの操作方法は、□ボタンで構えて、アナログパッドで上下左右に方向修正。○ボタンで発射である。構えた状態でRボタンを押せば、スコープ画面に切り替えることも可能だ。

《大砲の弾》は、キャンプに常備されており、砦まで運ぶ必要がある。《弾》を持った状態で、○ボタンで《大砲》にセットすれば発射である。強力な兵器だが、微調整ができないため、使いどころは絞られるだろう。

そして、究極の必殺最終兵器とよばれるのが、《撃龍槍》。砦の門の上に起動装置があり、○ボタンで使うことができる。リーチが短く、また一度使用すると、再び使えるようになるまで時間が掛かるが、その分威力は超強力だ。

いずれの兵器も、使いどころが難しいが、使いこなすことができれば、大きな助けとなるだろう。このような兵器を使うことが想定されている、巨大モンスターとは、いったいいかなる敵なのか? 興味が尽きない。であ〜る。

シュレイド城

『ミナガルデ地理院報告書 —最終回—』

私はミナガルデ随一の地質学者であ〜る。この項は、私の長年の研究結果について記すモノであ〜る。最終回となる今回は、《シュレイド城》の報告であ〜る。

《シュレイド城》は、中央シュレイドの広大な平野に面した古城であ〜る。かつて栄華を誇った王都も、今は見る影もなく、その城下を彩った家々や周辺の街村も、完全な廃虚と化し省みる者とていない。

ギルドでは、多大な投資の結果、ここに迎撃兵器を設置し、通常では対処できないモンスターとの戦闘に使用される。迎撃兵器には、《砦》と同様に《バリスタ》、《大砲》、そして例の最終兵器も使うことができるらしいのであ〜る。

しかしながら、ここで戦うことが想定されているモンスターが、あまりに協力であるがゆえに、これら強力な迎撃兵器といえど、その効力を十分には発揮できないことも多い。最後に頼りになるのは、やはりハンター1人1人の力といえるであろう。

樹海

『学者家業も楽じゃない・1 〜樹海を行く〜』

拝啓 教授殿

はるか昔から、我々人類の訪れを拒み続けてきた太古の森林地帯。今回は、《樹海》と呼ばれるこの地域での調査結果を報告しちゃいます。

樹海で気をつけなきゃダメなのは、森の奥深くに住居を構えた凶暴な奇面族チャチャブーたち。それから、最近その存在が噂されるようになった影のような黒いモンスター…。この二者にだけは最大限の注意を払うようにと、教授も厳しい顔で言っていましたっけ。

森の中に足を踏み入れ、最初に目についたのは、森林の中央にそびえ立った巨木でした。ひとまずはあの木を目指し、私は元気に前進を開始します。樹海の木々は、背の高さも半端じゃありません。太い幹の間を縫うようにして、ようやく例の大木の真下に到着です。そこは根っこが頭上を覆い、屋根のようになっていました。

木の内側は穴が開いていて、まるで洞窟みたい。地面には、辞典でも見たことのない菌類まで生えています。私はどんどん奥へと進んでいきました。するとどこからともなく、子供のような笑い声が聞こえてくるじゃありませんか。驚いて息を止め、私はそっとあたりの様子をうかがいました。も、も、も、もしかして…。

そこにいたのは、無数のチャチャブー達でした! 人間の半分程の大きさでありながら、その凶暴さで名を知られた奇面族。いつの間にやら、私は彼らの集落に、笑顔で踏み込んでしまっていたのです! 冠をかぶった一族の王が大声で命令を下します。もちろん私には、彼らの言葉はわかりません。でもこのときばかりは例外でした。

何と言ってもその直後、そこらじゅうの住居から顔を出したチャチャブー達が、ナタを振りかざして一斉に襲いかかって来たんですからね! なるほどなるほど。さっき子供の声と思ったのはこの奇声だったんですか。勉強になります。全速力で逃げながら、奇面族の声の特性についてしっかりメモを取る私。ね、偉いと思いません?

死に物狂いで、何とか太陽の下へ逃げ出したわけなんですが…。今度は目の前に、大きくて黒い影のようなものが立ちふさがりました。低いうなり声、ギラリと光る血のように赤い目。獣を思わせるしなやかな身体と、刃物より鋭い牙。これはまさか…。出会ったら命はないと聞かされていた、あの謎のモンスター? う、嘘でしょ?

…そんなこんなで、私の初めての学術調査の旅は散々な結果に終わってしまいました。学問には実戦こそが大事。教授の口グセの意味はまだまだ理解できそうにありません。うう〜。でもでも、次こそはがんばるぞ!

かしこ

旧密林

『学者家業も楽じゃない・2 〜旧密林を行く〜』

拝啓 教授殿

ハンターたちが昔から狩り場として利用していた奥深い森があります。人呼んで《旧密林》。今回は、ここからの報告をお届けしちゃいます!

私は今、旧密林の最深部を目指して前進中。周囲には木々が生い茂って、視界は最悪です。どこからモンスターが襲ってくるか…。うぅ〜、怖いです。それに、この高過ぎる気温と湿度! 髪もお肌もベタベタで、不快なことこの上ないったら!

キャンプの周囲は森に囲まれていて、その中央を川が流れています。そこらじゅうに虫が潜んでいてランゴスタやカンタロスはもちろん、採取に適した珍しい小型の昆虫もたくさんうろついています。ですが、私の狙いはそんな小物じゃありません。私がここへやってきたのは、超巨大昆虫モンスター《クイーンランゴスタ》を探すためなんですから!

だってだってクイーンですよ、教授! 雷光虫の輝きや、虹色コガネの鮮やかさに匹敵する美しさを持っているに違いないんです! 私は期待に胸を高鳴らせつつ、大河の源流近く、滝の流れる洞窟の入り口までやってきました。ホットドリンクを一気飲みしてから、洞窟の中に潜んで機会を待つことにします。…ドキドキ。

洞窟の中は鉱石が豊富で、一番奥には珍しい草も生えていました。こいつは思わぬ収穫ですね♪ しかし、次の瞬間! 私は洞窟の外にただならぬ気配を感じたんです。いわゆる女のカンってやつ? 私は夢中で洞窟の外へと飛び出しました。そこに女王虫がいるはずです! 瑠璃色に輝く羽、黄金の甲殻…。ついについに、その姿をこの目で!

ところがです、教授。もう、聞いてくださいよ。うわ、キモッ! 私は思わず叫んじゃいました。イャンクックほどもあろうかという巨大な昆虫が、私の目の前でブンブンうなってやがるんですよ。まったく誰ですか、クイーンランゴスタは女王様だから、美しいに違いないなんて言ったのは! …って、私か。

ええはいはい、こんなことじゃメゲませんとも。実戦のともなわない研究など下の下! というのが教授の口グセですもんね。いかなる苦難が立ちふさがろうとも、私は一生を学問にささげる覚悟です。新しい報告を、楽しみに待っていてくださいね!

かしこ

旧砂漠

『学者家業も楽じゃない・3 〜旧砂漠を行く〜』

拝啓 教授殿

ハンターたちが昔から狩り場として利用していた広大な砂地があります。人呼んで《旧砂漠》。今回は、ここからの報告をお届けしちゃいます!

と思ったんですけど、もう暑くて暑くて、報告をまとめる気力もないんですよ。クーラードリンクの飲みすぎで、お腹もタプンタプン言ってます。おまけに砂だらけで、口の中までジャリジャリ。そろそろ帰っていいですか…?

な〜んてね。お仕事お仕事。ざっと歩き回ってみて、広い砂漠地帯のまわりを岩場が囲むような地形になっていることが判明。小規模な洞窟も点在してまして、そこでは鉱石の採掘も期待できそうです。それに1ヶ所、草食竜の巣とおぼしき場所まで見つけちゃいました! これって、もしかして大発見!?

そんなこんなで、ガレオスの背ビレを避けながら北側の地底湖に移動、ちょっと休憩です。ついでに虫あみを使って、昆虫採集もしちゃったりして。あ、そうだ。湖の中には魚もいるみたいだから、釣りでもしてみよっと。地底湖の洞窟のすぐ外で、エサになりそうなカエルも捕まえましたしね。

お! さっそくいい手ごたえですよ。私ったら、けっこう釣りの才能あったりして? ぬぬぬ…。すごい引きです。こりゃ大物ですね。今日のディナーはこんがり魚でキマリかな! って、あれ、あれれ…? 魚影が見えて来たのはいいんですけど、なんかちょっと大きすぎない…? えーとこれ、もしかして…。

あとのことはもう、思い出したくもありません。水ブレスは噴きつけられるわ、あのでっかい尻尾でビンタされるわ…。最後には、全身魚くさくなってキャンプに運ばれてきました。これも、教授の言う研究の実践なのでしょうか。次はもう少し、安全な所を調査したいです…。

かしこ

旧沼地

『学者家業も楽じゃない・4 〜旧沼地を行く〜』

拝啓 教授殿

今回は、霧深い湿地《旧沼地》からの報告です。のんびりキノコを採取してきてくれればいいから、というお話だったので、前回よりは気楽かな。

ここは空気が冷たくて、とても静かな場所です。でも、イーオスやゲネポスなどの肉食モンスターはやっぱりここにもいるみたい。要注意ですね。キャンプのほぼ真南には、近隣の山菜を採集して暮らす竜人族の老人がいました。道がなくて遠回りをしちゃいましたけど、その分いろいろ珍しい素材を交換してくれましたよ。

それとキャンプからは距離がありますが、小さな洞窟も3ヶ所見付けました。水晶の原石をはじめ、貴重な鉱脈も発見。来た甲斐がありました! 今回は大型のモンスターにも出会わなかったし、楽しい調査でした。毎回こうだといいんですけど。たださっきから、背後に気配を感じるんですよ。振り返っても誰もいないし、何なんでしょうねぇ?

な〜んて、ノンキに思っていた私がバカでした。見上げれば、洞窟の天井にベッタリ貼りついた真っ赤なフルフルの亜種が一頭! マズイと思った時にはすでに手遅れです、ええ。おっきな口が、頭から一気に覆いかぶさってきて、あっと言う間に胃袋の中。ケルビも丸呑みにするモンスター、さすがです。

っとと、感心してる場合じゃありません! 早く脱出しないと、溶かされて骨になっちゃいますよ! でも、もがけばもがくほど息が苦しくなって…。教授〜。安全って言ったのは嘘だったんですか〜! 故郷の父さん母さん、どうか、先立つ不孝をお許しください…。

と、もうあきらめかけたときでした。偶然近くで狩りをしていた、ギルドのハンターに助けてもらうことができたんです。危なかった…。ところが、そのハンターさん達に話を聞いたら、何て言ったと思います? そっと私の後をつけて、もし死にそうになったら助けてやれって、教授自ら依頼していたらしいじゃないですか!

あのー、教授? 口では実戦が大事だとか言ってますけど、まさか私をわざと危ない場所に送りこんでおいて、あとで報告書を読んでほくそ笑んでたりしてるんじゃ…? 世界一の博物学者として名高い教授のことですから、そんなはずはないと信じてますけど!

かしこ

旧火山

『学者家業も楽じゃない・5 〜旧火山を行く〜』

拝啓 教授殿

今回は火山の調査です。やってくるのは物好きなハンターくらいという、とても過酷な《旧火山》。…教授、私を殺す気ですか。

ところで、調査を始める前にいきなりの大発見。キャンプにある泉の水質を調べていたら、何とあの珍しい魚、《黄金魚》を発見しちゃいました。なかなか幸先がいいですね。この調子で行けるといいな〜と思いつつ、キャンプを出て溶岩の流れる洞窟内部へと足を踏み入れます。

火山と言えば、やっぱり鉱石です! 予想通り、いたるところに鉱石の取れそうな採掘ポイントが。これに気をよくした私は、そのままさらに奥へと進むことにしたんです。クーラードリンクも十分に用意してありましたし。でも今になって思えば、この時の判断が間違っていたんですね…。

洞窟の奥で待ちかまえていたのは、凄みのきいた黒い甲殻の持ち主、グラビモスの亜種でした。グラビモスは大きく息を吸い込みます。厚い岩盤さえ貫く、強烈な熱線攻撃。避けなきゃと思っても足が震えて動きません。もうだめだ、と思ったその瞬間…!

私を突き飛ばして助けてくれたのは、沼地で私を助けてくれた、あのハンターさん達でした。ところが、これで一安心と思ったところへ、何と2頭目のグラビモスが現れたんです。…絶体絶命! 私とハンターさん達は、危機一髪のところで坂を駆け上がり、火口へと逃げ込みました。

でも、残っているクーラードリンクはあと少し。ハンターさん達の怪我も、軽くはありません。私は役立つものを探し、火口付近を調べました。すると驚いたことに、古代の遺物らしき奇妙な塊を掘り出すことができたんです。これを分析すれば、研究は大きく前に進むはず。そう。こんなところで死ぬわけにはいきません!

その時です。私は噴煙の隙間でひっそりと揺れる《龍殺しの実》を発見したんです! 私はこれを調合して、《滅龍弾》を作りました。教授に教わったことを思い出したからです。いくら龍属性に強い亜種のグラビモスでも、割れた甲殻の間にこの強力な弾を撃ち込まれれば…。私達は意を決しました。これが最後の賭けです!

銃声、爆音、咆哮…。あまりに夢中だったので、詳しいことは覚えていません。ふと気づくと私達は無事にキャンプへたどり着いていました。満身創痍で乗り込んだ帰りの船。その中で調べた結果、この塊は太古の文字が刻まれた碑石らしいと判明しました。でも、わかったことはそれだけじゃなかったんです。

普段の研究で得た知識、瞬時のヒラメキ、そして仲間との協力。教授が言っていた実践の大切さってつまりはこのことだったんですね! はっ! まさか教授は、私にこれを伝えるためにいつも私を危険な場所に? …き、教授〜っ!

と、そのときは思ったんですけど、冷静になって考えるとやっぱり納得がいかないです。だって私、一歩間違ったら死んじゃうところだったんですよ! だから私、決めました。これからも教授と一緒に研究と実践を重ねて、真意を見極めてやるって。教授、これからもよろしくお願いしますね!

かしこ

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