- 読書日記

2012/11/18/Sun.読書日記

以下の二冊はいずれもハヤカワ文庫の<数理を愉しむ>シリーズである。

スタインの著作ではハイゼンベルクの不確定性原理、ゲーデルの不完全性定理に加えて、ケネス・アローの業績に紙幅が割かれている。アローの定理は、個人の選好順位を元に社会全体の選好順位を決定する完全な方法——つまり、理想の民主的選挙法——は存在しない、というものである。その他、P ≠ NP 予想(いわゆる計算爆発問題)や連続体仮説など、我々がいまだ答えを知らない、知ることができるのかどうかが定かではない問題が扱われている。面白い。

ウィルチェックは、量子色力学 QCD における強い力の理論でノーベル賞を受賞した物理学者である。本書では、時空=グリッドから質量が生じる過程がイメージ豊かに描かれている。後半では、重力を含めた統一理論への指針についても触れられている。