- 読書日記

2012/09/18/Tue.読書日記

訪米の際に、飛行機の中で読んだ本を記録しておく。

『歴史を考える〜』は、歴史学で無意識に使われる語を一つ一つ丁寧に捉え直したもので面白かった。日本という国号が使用されるのは飛鳥浄御原令(六八九年)以降なのだから、例えば「縄文時代の日本」という表現はおかしい、縄文時代に日本は存在しない、という議論には蒙を啓かれた。確かにそうである。その他に、関西、百姓といった語についての考察が印象に残った。

『拾い読み』はハイデガー講義録を紹介したものだが、ハイデガーの講義および木田の文章ともに、いわゆる逐行解読的なもので、その種の訓練を受けていない俺には辛いものがあった。もちろん実験科学にも微に入り細に渡る議論や解釈は存在するが、それは raw data を伴ったものであり、text を基盤としたものとは異なる。文系の学科では、半年を費やして数頁を読むといった授業もあると聞く。いったいどのような講義なのか、いまだ想像しかねる。長年の謎である。