- 最近のあれこれ

2012/05/18/Fri.最近のあれこれ

地の文があるのだから天の文もあるのだろう。人の文もあるに違いない。実際に、天文学・地文学・人文学が存在する。それにしてもなぜ天地人なのか。陸海空と対応しない。空には雲があり、海には水がある。だから空海の弟子を雲水という。というのは嘘である。空海は真言宗の祖だが、雲水は禅宗の徒である。

無知の知を説いたのはソクラテスだが、自らの無知を知るのは易しい。自分が知らないことを一つ挙げ、「俺って無知だなあ」と反省すれば成立する。困難なのは、自分がどれだけのことを知っているかを知ることである。しかしこれは、全ての集合を含む集合、すなわちカントールのパラドックスでもある。カントールは無限について考えた揚げ句、頭がおかしくなって死んだ。

自分が知っている言葉の数はどれくらいだろう。この日記を形態素解析すれば、ある程度はわかるかもしれない。だが、日記には絶対に登場しない単語も数多く存在する。大抵の固有名詞がそうである。それから、自分が文章を書くときには意識に上らない言葉も多い。「読めるけど書けない漢字」(薔薇などが典型例である)のようなものである。

三十年も生きながら、実際に書いたことがない漢字というのもある。私はこの一年の間に、「箕」「橘」という字を初めて手で書いた。手指の記憶は驚異的である。「この字を書いたのは初めてだな」ということがすぐにわかる。英単語に関しては、キーボードを叩いているときに同様の感覚を覚えることがある。