- 北海道、ハレのち雨

2011/09/08/Thu.北海道、ハレのち雨

六、七日と学会で北海道に行ってきた。

伊丹空港には大阪モノレールで向かった。このモノレールは高架の上に設置されているのだが、なぜか地表と並行してアップダウンを繰り返す。これでは高架にした意味がなかろうと、いつも思う。モノレールが水平になるように高さを調節しておけば、もっと運行も楽になったはずである。

このモノレールに初めて乗った人が抱く感想の大半は「恐い」である。中途半端に高い位置——しかも一本のレールの上——を、車体を傾けながら走るのだからもっともといえる。視界は開けており、眼下の道路や建物が仔細に見えるのもよろしくない。この恐怖は、ロープウェイやスキー場のリフトで感じるものと似ている。

落下したら間違いなく死ぬにも関わらず地表がはっきりと見える高さ、これが一番恐ろしい。その点で、伊丹空港での離着陸もなかなかのものである。地面に飛行機の巨大な影が落ちているときには、モヤモヤ感も一層高まる。込み合った建物のすぐ上を飛んでいるのだという実感は、関西国際空港では得られない。

現代の庶民にとって、飛行機への搭乗は、やはりハレの行為なのであろう。空港という場所は妙にテンションが高い。店という店に、軒並み「スカイ」が付されているのはその顕れである。スカイラウンジ、スカイブック、スカイショップ云々。いや、ここ地上だから。

多分、ふた昔前の新幹線もこんな雰囲気だったのだろう。新幹線の売り子のスカーフにその名残を見ることができる。スチュワーデスもスカーフをしている。日本人にとってスカーフは、「ここはハレの場でございますのよ」というシンボルなのかもしれない。

スカーフについては一つ仮説がある。どこの国でも、女性の正装というのはヒラヒラしているものである。しかしスチュワーデスや売り子がヒラヒラした格好では仕事がしにくい。服装は機能的にしなければならぬ。そこで、ヒラヒラ感を演出するためにスカーフを身に着ける。そういうことなのではないか。