- 自然と論理

2010/10/04/Mon.自然と論理

自然科学は論理的であるべきだが、これは、自然が論理的であることを意味するわけではない。

論理とは任意の——我々が勝手に作った——、決まりごとである。ある論理系が自然の構造を反映しているという保証はどこにもない。

養老孟司風にいうなら、ある論理系を脳が考えるのは、それと同質の論理回路が脳の中に存在するからだ、ということになる。直感的ではあるが、多分、この推測は正しい。

脳は恐ろしく複雑な構造を持つが、新たな個体が生まれるたびに過たず形成される以上、その誕生や存在にそれほどの無茶があるとは思えない。起こるべき事柄は起こるべくして起こる。脳の発生、変化(記憶、学習など)、そしてそこから生まれる「考え」などは、どれも自然の摂理に則ったもののはずである。

脳の回路が自然の構造を反映しているならば、そこから生まれる論理系もまた自然の写像となるだろう。つまり、自然が論理的なのではなく、論理が自然的なのである。論理が自然をよく説明できるのはこのためではないか。