- 謹賀新年 2010

2010/01/03/Sun.謹賀新年 2010

正月はダラダラと過ごした T です。明けましておめでとうございます。

読書日記

年末年始に読んだ本を掲げて書評に代える。という横着な手法を一度開発してしまうと、それに甘んじてしまうので困る。といっても本当に困っているわけではないし、誰かに迷惑がかかっているわけでもない。

『妻を〜』は、脳神経疾患の非常に興味深い症例集。その奇妙な症状は、まさに想像を絶する。『ベッドから落ちた男』などは、そこらのホラーが裸足で逃げ出すような恐怖譚ですらある。

『日本海海戦の深層』は、日露戦争における日本海海戦を純軍事的に分析した一冊。艦船能力の解説を元にした艦隊決戦の叙述が主だが、機雷戦術の記述なども興味深い。司馬遼太郎『坂の上の雲』に対する批判的な主張も多い。

『華族誕生』は、豊富な資料を元にした華族制度入門の書として至適の一冊。華族に関する研究はあまりないようだが、それは「かれらが『衆庶の嘱目』に十全に応え、『貴重の地位』にあるだけの働きをしたとはとてもいえない」からであり、「ノブレス・オブリージュ——高貴なものの義務をかれらは果たせなかった」(「おわりに」) からでもある。華族制度自体はなかなか興味深いものだが、華族自体には特に見るべきものがない。皮肉なことに、本書の充実したデータがそのことを示している。

『甘粕大尉』は甘粕正彦の評伝である。不勉強なことだが、大杉栄殺害事件に微妙な絢があることを本書で初めて知った。甘粕は東条英機に似ているなあという印象を受けたのだが、果たして両者は、互いに認め合う親しい仲であったらしい。本書によって、俺の中で甘粕正彦という人物のイメージに血肉を通わせることができた。

Web 日記

Google Reader のフィードを整理した。情報摂取量の制御は近年の課題だが、やはりもっと質を上げていかねばならぬ。情報発信も同じことで、つまらないことはなるべく書くまい。難題ではあるが、努力は必要だろう。