- Diary 2008/11

2008/11/29/Sat.

『レッドクリフ Part I』(ジョン・ウー監督) を観てきた T です。こんばんは。

熊本から帰ってくる飛行機の中で、ジョン・ウー監督へのインタビューを読んだ。「アジアの心」を表現したかったという。

『レッドクリフ』は赤壁の戦いに材を取った映画である。赤壁の戦いは主に『演義』によって知られる。というか、正史にはほとんど記述がないんだよな (孔明も登場しない)。したがって、どう料理しても良いわけで、その意味ではまことに映画的な題材である (小説にすると必ず『演義』とバッティングするので、三国志自体が映像的なテーマであるといえる。やたらと漫画が多いのはこのためではないか。北方三国志が話題になるのはその反動とも考えられる)。

さて、"Part I" では、長坂の戦い〜蜀呉の同盟〜赤壁での前哨戦までが描かれる。趙雲は馬術と槍術に長けているし、関羽は青龍刀を奮っておる。おお三国志だ。しかし張飛は蛇矛をもっておらず素手でドツき回っているし、最大の見せ場であるはずの、長坂での仁王立ちもない。監督は張飛が好きではないのか?

三国志に興味のない人を加えたとしても、世界的に見れば、それでも日本人は三国志に異常に詳しい (ひょっとしたら世界一なのではないか)。したがって、「欧米にアジアの心を紹介したい」という目的で制作された『レッドクリフ』は、良くも悪くも我々日本人にとって「わかりやす過ぎる」。ほとんど「クサい」の領域に近い。肩の力を抜いて観るくらいで、ちょうど良いのではなかろうか。

2008/11/28/Fri.

辛子蓮根は美味いと思った T です。こんばんは。

どうでも良い話だが、「おっとり刀」という言葉が誤用されているのを連続で耳にしたので書いておく。「おっとり刀」は「押っ取り刀」と書く。刀は本来なら帯に差すべきものだが、その時間すらなかったので手に持って (押っ取って) いる状態が「押っ取り刀」である。つまり、「押っ取り刀で駆け付ける」というのは非常に慌ただしい様を表している。

一方で「おっとり」という副詞 (?) があり、これは「ゆっくり」「のんびり」「ゆったり」といった状態を意味する。この副詞「おっとり」と「押っ取り」を混同すると、「押っ取り刀でやって来る = のんびりやって来る」となり、本来とは全く逆の意味になってしまうので、誤用されると話が混乱する。

熊本城

宿で起床後、朝食を摂ってから風呂に。のんびりし過ぎだろ。市内に赴き学会場へ。

夕刻から熊本城を見て回る。加藤清正が築城し、細川家が守ってきた肥後熊本城は、しかし維新後に西南戦争に巻き込まれ、原因不明の失火で焼失する。現在でも見られる建造物は昭和に再建されたもので、基本的には新物 (あらもの) である。

それでも熊本城には感銘を受けた。まず縄張りが素晴らしい。天守閣も、往時の外観を忠実に再現したもののようで、質実剛健とでも言おうか、城塞としての機能美のようなものを感得することができる。現在でも感じられるこの佇まいは、やはり熊本人の、清正公に対する敬愛の精神があるからこそ成されたものではないか。熊本人の郷土愛、歴史愛を垣間見ることができて非情に良かった。

宇土櫓は、唯一残った創建当時の多層櫓である。ここに登れば歴史の匂いを補うことができ、新物だ何だというのもあまり気にならなくなる。億劫がらずに足を運ぶことをお勧めする。逆に、最近完成したという本丸御殿には見るべきものがなく、中身も公開の仕方もつまらない。あれはよろしくない。

研究日記

熊本 → 伊丹 → 京都。

22時頃から職場で培養細胞のメンテナンス。その後、ボスと飲みに行く。来年度のことについてゴニョゴニョと相談。日付が変わる頃に帰宅。

2008/11/27/Thu.

熊本市内を訪れたのは初めての T です。こんばんは。

阿蘇には 2回ほど行ったことがあるけれど。

研究日記

伊丹 → 熊本。

学会のお伴で熊本へ。ボスが、旅費を安く上げるためにパックのツアーを頼んだらしいのだが、人数が足りないということなので、発表をしない俺も付いて行くことになったのだ。気楽なものである。他の参加者は研究員君、研究員嬢、テクニシャン嬢、元隣の研究員嬢で計 6名。

飛行機の中で厚生科研の書類をチェックさせたられた他は大した仕事もなく、宿についてからは風呂に入って馬刺を食べ、早めに就寝。

2008/11/26/Wed.

どちらかというと「色々とやってみたい」人間である T です。こんばんは。

研究日記

病院 → 大学 → 病院。などと書くのも久し振りだな。

動物実験のデータを元にした 3本目の論文を英文校正に出した。Revision 中の 2本目の論文と併せて、これらが 2009年度の業績を形作る (ことになってもらわないと困る) わけだが、何というか、常にケツを蹴られて追い立てられているような気分である。

3本の論文はどれもテーマが大きく異なっていて、1本目は心筋肥大の転写機構、2本目は幹細胞の心筋分化における RNA の働き、3本目は心不全動物モデルにおける現象 study、とバラバラ。他人が見たら、「こいつは何がしたいんだ?」と疑問に思うことだろう。自分でも何を目指しているのかよくわからない。ははは。もう少し落ち着いて仕事を……とは思うが、それは学位を取ってからだろうなァ。

で、俺は将来どうしたいのだろう、と最近になってよく自問する。

2008/11/25/Tue.

留学は楽しそうだよなァと思う T です。こんばんは。

研究日記

留学されている先生が就職活動のために来日。昨日帰朝、本日インタビュー、明日帰米という忙しいスケジュールの合間を縫って、留学中の成果を我が職場で発表して頂いた。Fibroblast から iPS 細胞への reprogramming に、細胞周期に関する遺伝子が機能しているという話。留学先での仕事が順調なようで、皆で喜ぶ。

セミナー後、ボス、留学されている先生、助教の先生とそのグループの大学院生 3人、元隣の研究員嬢と焼き肉。会話が大いに盛り上がり、24時近くまで飲み食いする。

2008/11/22/Sat.

ドイツ語は「ハイル・ヒトラー」くらいしか知らない T です。こんばんは。

研究日記

午前中に細胞培養を少し。今週からめっきり冷えてきて、人のいない朝のラボは寒々しい印象である。夏であれば爽やかな感じもするのだが。

観劇日記

午後から大阪中之島の中央公会堂に行ってオペラを観てきた。貴志康一 (1909〜1937。パンフレットによれば「ベルリン・フィルを 25歳で指揮した日本人」「夭折の天才」) という人の『なみ子』という作品で、世界初上演であるという。上演の前には『春』『鏡』という、貴志が監督・作曲した短い映画も公開された。これらの映画は、欧州人に日本の美しい精神と情景を知らしむるために撮影されたようだが、幻想的でありながら淡々としていて、ある種の記録映画のようでもあり、とにかく不思議な作品である。非常に面白い。

オペラ『なみ子』の方は、歌詞こそドイツ語であったものの、親しみやすいメロディで楽しめた。物語の部分は日本語で演じられており、戦中の満州で繰り広げられるストーリーを追うのにも困らない。話の筋は単純で他愛ないものだったが、90分ほどの歌劇であれば、あんなものかもしれない (物語の担当は貴志ではなくドイツ人)。

2008/11/21/Fri.

今週は何かと慌ただしかった T です。こんばんは。

月曜日。国際学会が終わり、1週間ぶりに職場へ。先月末に投稿した論文の査読結果は、major revision が必要、ということであった。年内はこれを頑張ろう。

木曜日。夜にホテルで、製薬会社共催の勉強会。会の世話人には、M先生や大学院の講師 S先生の名前が入っている。特別講演は chromatin remodeling の話。古典的なレベルでいうと、遺伝子の発現は転写因子によって制御されている。転写因子は DNA の塩基配列を認識することで、特定の DNA 領域に結合する (= 特定の遺伝子が発現する)。しかしゲノム DNA (chromatin) は通常「閉じて」おり、転写因子が結合することはできない。そこで、転写因子のために chromatin を開閉するのが chromatin remodeling factor である。じゃあ?と疑問は続くわけだが、remodeling factor はどのような機構でゲノム領域を特定するのだろう? 塩基配列? それとも chromatin の構造? あるいは転写因子が DNA を認識し、これに recruit される形で remodeling factor がやってくる、ということも考えられる。

で——、講演を聴きながらボンヤリと脇道に逸れたことを考えたのだが、in vitro で chromatin を再現することはできないのだろうか。とはいえ、一口に chromatin といっても、そこには複数の階層構造がある。Histone と DNA の複合体というだけであればそれほど難しくはないのだろうが、それらが複雑に修飾され、高次の立体構造を取っている様を再現しようとなると、いささか厳しいかと思われる。仮にそんなものができたとして、何に使うのか。リアルな in vitro 転写系が構築できるわけで、これはまァ、色々と応用できそうな気がする。

金曜日。In revision のものとはまた別の論文についてボスとディスカッション。夜はボス、テクニシャン嬢、研究員嬢と呑みに行く。眠い。

2008/11/16/Sun.

時差ボケの T です。こんばんは。

昨夜は疲れて爆睡。今朝は早くに目が覚める。夜まで起きていれば時差ボケも治るだろうと考えつつ漫画を読んでいたら、いつの間にか眠っていた。夜半起床。明日から仕事だが、大丈夫か。

2008/11/15/Sat.

寺を巡ってきた T です。こんばんは。

東福寺に紅葉を見に行く。陽の当たる場所にある葉はだいぶ色付いていたが、陰になっているところはまだ緑のままであった。色の変化が如実に見られて面白い。

東福寺は全体的に観光地化が進んでおり、せっかくの庭が現代アート発表会に堕しているなど、あまり感心できるものではなかった。しかし龍吟庵の方丈 (国宝) の襖絵と、入口に掲げられている足利義満筆の扁額は大変よろしい。さすが足利義満、立派な文字である——などと唸ったりするわけだが、果たして、何も知らずに文字だけを見せられても同様の感想が湧くかどうか。やはり書はよくわからない。

だが——、落款や署名 (「誰」が書いたのか) まで含めての「書」なのかもしれぬ、とも思う。例えば雄大な文字があったとする。これが磊落な人物の書であった場合、感想は「なるほどさすがに大きな字だ」となる。だが同じ文字でも、それが線の細い人間の書いたものとなると、「意外に大きな字を書くのだな」と印象が変わる。要するに、鑑賞者は文字だけではなく「書いた人物」を含めて見ているんだよな。だから、「これが足利義満の字? へー立派だね」という感想でも別に構わないのではないか。素直で良いじゃないか。

東福寺の近くにあった雪舟ゆかりの寺とやらにもお邪魔する。東福寺は人でごった返していたが、こちらは閑散としており落ち着くことができる。円窓のある四畳半の和室 (茶室?) が素晴らしい。これくらい狭い部屋なら現代日本の家屋内にも作ることができるよな、と考えるが、しかしこの素晴らしさは庭あってのものであることに気付く。

暗くなってから、ライトアップされている知恩院を訪ねる。知恩院へ足を運ぶのは二度目である。三門と御影堂 (いずれも国宝) の馬鹿デカさに改めて驚く。御影堂の中でピアノを聴く。曲目に関する知識が俺にはないが、リストなどの欧州古典であるらしい。こういう組み合わせのイベントのセンスは、なかなかのものだと思う。

友禅染の始祖ゆかりだという立派な庭も散策する。ここにも立派な茶席がある。昼間にまた来てみよう。

2008/11/14/Fri.

そういえばトラベラーズ・チェックという言葉を聞かなくなって久しいな、と思った T です。こんばんは。

有給休暇。洗濯とかクリーニングとか掃除とかを諸々。溜まっている仕事のメールを片付ける。

航空会社が切った小切手を換金しようと近くの銀行を訪ねたが、「口座を開いた支店でないと手続きできない」と言われて萎える。他にも「書類を書かねばならない」「通帳と判子が必要」「換金するのに 1ヶ月ほどかかる」などなど、面倒過ぎるだろ。たかだか $500 で、そこまで人手を煩わす必要があるのか。どう見ても赤字だろ、流通経済的に考えて……。

もう要らね、というのが本音だが、しかしそれでは俺が一方的に航空会社から損害を被っただけになるので、それもまた癪というか。俺はただ、飛行機に予定通り乗りたいだけなんだ!

2008/11/13/Thu.

アメリカのお土産の選択肢のなさだけはいかがなものかと思う T です。こんばんは。

無事に帰国。伊丹からリムジンバスで京都駅へ、そこからはタクシーで帰宅。時差ボケのせいか、疲れてはいるが眠たくなく、空腹ではあるが食慾がない。ノロノロと旅の後片づけをし、溜まっている RSS フィードを消化する。

明日は有給休暇を取っている。年休など滅多に取らない俺だが、今年度で現職を退くなら使っておかないともったいないよな。

2008/11/12/Wed.

演劇、特に音楽や歌や踊りを含むそれには疎い T です。こんばんは。

早朝に起きて、朝一番の飛行機に乗り込む。帰国のルートは、New Orleans → Los Angels → 成田 → 伊丹。予定通りの運航で、無事に日付変更線を通過。日本に戻れば、後はどうにでもなるので一安心。というか、毎回毎回、飛行機に心を砕く方がおかしいんだよな……。

機内で上映されていたミュージカル映画を視聴する。ミュージカルというのは何度か観たことがあるが、この形式を一体どのように理解すれば良いのか、いつも判断に苦しむ。物語は一般の演劇 (映画) 形式で進むわけだが、場面が盛り上がってくると音楽が始まり、登場人物 (しばしばその場面を構成する多数の人間) が歌って踊る。音楽が終われば場面は転換し、また普通に物語が進んで行く。これは何なのだろうね。

音楽パートは、物語の進行パートと「別のもの」として考えるべきなのだとは思う。まさか「登場人物たちが歌って踊る部分」も「現実」(小説でいうなら地の文とでもいうべきか) であるという「物語」ではあるまい。とはいえ、音楽パートが物語と全くの無関係というわけでもない。それは物語や登場人物と、少なくとも何らかの対応関係にあるものではある。しかし例えば、音楽パートを「登場人物たちの心理や内面を音楽と踊りとして描写したもの」と解するのは、間違いではないのだろうが、ちょっと違うかなと思う。

あるいは、物語は単なるツマに過ぎず、あくまでも主体は歌と踊りの部分であると考えれば良いのかというと、どうもそういうわけではない。ミュージカルから物語を抜いてしまえば、やはりそれは「ミュージカル」としては成立しないように思われる。

逆に物語の視点から考えると、音楽パートが存在しなくともストーリーには支障がないであろうことに気付く。この非対称な依存関係が、ミュージカルという形式の特徴であるらしい。不思議な芸術である。

2008/11/11/Tue.

今回の学会日記は現地時間に則っている T です。こんばんは。

研究員嬢、研究員君と一緒に街をブラブラする。ミシシッピ川沿いを歩いた後で街中に入り、テラスのあるカフェで朝食を摂る。土産物屋を冷やかしつつ散策。路上ではバンドが jazz を奏でておる。広場の前に屹立しているセント・ルイス・カテドラル (St. Louis Cathedral) が良かった。昼はまたもやテラスで、jazz の生演奏を聴きながらビールをあおる。

研究員君と国立第二次世界大戦博物館とやらに赴く。二部構成になっており、第一部が D-Day、すなわちノルマンディー上陸作戦 (vs ナチス・ドイツ)、第二部が太平洋戦争 (vs 大日本帝国) の展示であった。彼我の装備を並べて陳列するなど、非常にわかりやすい。しかし、わかりやす過ぎるのではないか、事実を単純化し過ぎてはいないか、とも思う。展示物は、"Lord to Victory" というテーマに沿って、一つの物語となるように配列されている。これはちょっと日本人としては辛いというか。真珠湾攻撃について大々的な説明がある一方、原爆と沖縄上陸戦に関する展示はほんの少し。まァ、アメリカの国立博物館だから仕方ねえよな。とはいえ、歴史認識の差というものを肌で感じて複雑な気分になる (これは日米のそれのどちらが正しいかという話ではない)。

2008/11/10/Mon.

New Orleans はシーフードが新鮮でまことに結構だったが、しかしなぜその瑞々しい食材を煮て焼いてソースをぶっかけるのか!生で食え生で!と思わずにはいられなかった日本人、T です。こんばんは。

生で出てきたのは牡蠣くらいか。

研究日記

国際学会 2日目。

午前中のセッションを聴講した後、昼休みにポスター会場をブラブラしていたら、ポスターを掲示していた研究員君に遭遇する。昼食をどうしようかという話になり、ボスに 奢って 決めてもらおうということになった。携帯電話でボスと連絡を取って合流。会場近くのシーフード・レストランで、昼間からビールを飲みつつ oyster (牡蠣) やら shrimp (蝦) などを貪り喰う。アメリカの飯が美味いと思ったのはこれが初めてかもしれぬ。

New Orleans, oyster

午後のセッション終了後、ボス、M先生夫妻、留学された先生 (留学先の California から学会に参加)、研究員君、研究員嬢と一緒にディナー。留学された先生は近々帰国されるらしく、ボスも相好を崩していた。

2008/11/09/Sun.

円とドルは匂いが違うことに気付いた T です。こんばんは。

研究日記

学会初日にして、俺の発表日でもある。朝イチで Chicago を発ち、New Orleans へ。ホテルには立ち寄らず、学会場へタクシーで直行。どうにかポスターの掲示に間に合う。やれやれ。

早めに学会場を出てホテルへ。旅の垢を落として就寝。

2008/11/08/Sat.

毎度毎度、国際学会では飛行機のトラブルに遭遇している T です。こんばんは。

研究日記

伊丹 → 成田 → Chicago → New Orleans。

……のはずが、overbooking で New Orleans の便に乗れず、Chicago で泊まるハメに。迷惑料ということで、ホテル代とは別に $500 のチェックを受け取ったが、この円高でドルを貰ってもなァ。

去年は整備不良で飛行機が飛ばず、関空で足止めを喰らって一泊一昨年はやはり整備不良で飛行機が遅れ、成田から夜行バスで帰京するというトラブルに巻き込まれた。航空会社はいずれも Northwest。そこで今年は United Airline を利用したのだが、どうも関係なかったようである。今年の騒動には大学院の講師の S先生も一緒に巻き込まれ——いや、俺は別に何も悪くはないのだが——、それでも何だか自分が疫病神のような気分になって恐縮する。しかし、S先生には航空会社とのやり取りで非常にお世話になり、こんなことを言うのもアレであるが、俺としては助かった。

Chicago は 2年前の学会で訪れており、いささか懐かしくは感じた。時間もあったので街に出ようかと思ったが、Chicago は寒波が吹き荒れており、New Orleans の暖かい気候を想定していた服装ではとても太刀打ちできなかった (しかも荷物は先に飛行機に積まれて New Orelans に行ってしまっている)。仕方がないので大人しくホテルで本を読んで過ごす。

話が前後するが、伊丹には京都駅からリムジンバスで行った。空港への途上で初めて太陽の塔を見る。いきなり視界に入ってきたそれが、想像していたよりもデカくて仰天する。かくも異様なモノとは思ってもいなかった。キチガイの所業である。

伊丹 - 成田便では、なぜかビジネス・クラスのシートが割り当てられていた (復路も同様。会社は ANA)。飛行機なんて滅多に乗らないし、提携しているカードも持っていないのに、不思議な話である。

2008/11/07/Fri.

明日から国際学会に出発する T です。こんばんは。

行き先は New Orleans、帰国は 13日の夜。

研究日記

学会発表の準備を済ませ、早めに帰宅。

New Orleans のガイドブックを買おうと思って本屋に寄ったのだが、店に入った途端に忘れてしまい、文庫本を数冊購入して退出。……ガイドブックは空港で買うか。

明日は 5時起きの予定。眠るか眠らないか、それが問題だ。

2008/11/06/Thu.

そろそろ来年度以降のことについてボスと相談せねばなあ、と考えている T です。こんばんは。

大学院の課程は残り 2年間。学振を貰って学位を取得できる目処も付いたので、特に心配はない。問題はその後だよなあ。「どうしたらええかな?」とテクニシャン嬢に話を振ったら、「ボスが辞めさせてくれないと思います」と返された。うーん。

研究日記

ボスの命で、大学院の K先生の論文を submit する。投稿先は、この分野では有名な journal の姉妹誌。最近創刊されたので IF はまだないが、いずれそこそこの値になるのではないかと思われる。この sister journal はまだそれほど知名度がなく、先日の学会でも盛んに promote されていた。今はそれほど論文も集まっていないらしく、意外とあっさり accept されるんじゃね?などとボスは言っておるが、それほど簡単ではなかろう。俺が今書いている論文も同じ雑誌に投稿する予定なので、結果が楽しみではある。

12週間前から参加しているボスの第I相臨床試験 (薬の服用) が、血圧の測定と採血、問診への回答をもって終了した。他の被験者の試験も前後して終了する。結果の解析は恐らく第三者機関 (受託) になると思われる。今回の第I相は健常者を対象とした安全試験だが、第II相からは患者が対象となり、俺が手伝えることもなくなる。

2008/11/05/Wed.

弟が結婚した T です。こんばんは。

弟の結婚式が駅前のホテルで行われた。弟に会うのは母が乳がんを患って以来だから 4年半ぶり。新婦に会うのは初めてだった。

最上階のチャペルで、いわゆるキリスト教形式の簡単な式。聖書なんぞに手を置き、外国人の牧師 (?) が英語で説教を垂れているのを神妙に聞いている弟 (恐らく内容を全く理解していない) の姿が可笑しくて、俺と妹は笑いを堪えるのに必至だった。妹は「やるなら神式かな」と言っていた。笑いを含めて、昔から俺と妹はセンスというか感覚が似ている。

あっさりして良い式だったと思う。晴天に恵まれ、チャペルからの見晴らしも良かった。

その後、簡素なのがよろしいという弟と新婦の希望で、親族のみの食事会をもって披露宴に代えた。ちょっとした挨拶を交えながら 2時間ほど会食。出席者は、我が家は父、母、兄 (俺)、妹、父方の祖父母、母方の祖母、叔父、叔母、従姉妹。新婦側の記憶は正確でないかもしれないが、父、母、兄夫婦、父方の祖父母、父の妹である叔母、その夫である叔父、その娘である従姉妹、あともう一人叔父 (伯父?) がいた。新婦の親族は総じて朴訥に過ぎる印象で、これも土地柄 (聞くところによると相当の田舎であるらしい) なのか、などと思った。堅苦しくなくて、楽しい時間だった。

おめでとう。

2008/11/04/Tue.

どうも疲れ気味の T です。こんばんは。

研究日記

本日もテクニシャン嬢が病欠。概ね恢復しており、今日は「大事を取って」とのことらしいが、それでも 1週間になるので少し心配である。

実験を少し。国際学会の準備を進める。

夕方は実験動物の慰霊祭。帰りは大学に寄って学振の通知を受け取る。

明日は弟の結婚式なので、新幹線に乗って帰省。

2008/11/03/Mon.

王欣太『蒼天航路』を再読している T です。こんばんは。

掃除と洗濯をする。クリーニング屋に行くついでに食材を買う。ケヤキやイチョウの葉がだいぶ色付いてきた。帰宅してから肉じゃがを作る。食べてから昼寝をする。

2008/11/02/Sun.

それでも空を飛びたいとは思わない T です。こんばんは。

「同じ空の下で云々」というフレーズが見聞きするたびに、空は一つしかないから「同じ」もクソもないのではないか、というふうに思う。あるいはそうではなくて、作者は、複数の「空」が存在する幻想的世界について述べているのだろうか。もしそのような詩や小説なら読んでみたいと思う。

「同じ空」というのは恐らく「同じ状態の空」の意味だろう。これは限定された時空間を指定する。「同じ状態」は近似的な表現であり、その度合いが指定される時空間の範囲に相当する。「夜」というだけなら、それは最大平均で、経度にして 180度、時間にして 12時間に及ぶ。

我々は 3次元空間に住んでいるが、重力に抗うことができないので地に足を付けている。存在位置を決定するパラメータは緯度と経度しかなく、地球表面からの距離は常に 0 である。したがって空が一つしかない。

鳥にはたくさんの空があるのだろう。

研究日記

培養細胞の実験を少し。明日は休む。

2008/11/01/Sat.

なかなか咳が取れない T です。こんばんは。

四条大橋を渡りながら、「雲水」という文字は「空海」という文字によく対応していることに気付いた。いやでも、雲水は禅宗だよな。

研究日記

培養細胞の実験を少し。学振の審査結果が良かったのでヤル気が出る。

昨日の日記に、幾人かの人が「学振 採用内定予定」で検索して飛んできた。確かに「採用内定予定」という言葉の意味するところはわかりにくい。俺も気になって色々と調べた。以下は 2ちゃんねるで蒐集した情報である。

数字は分野によって変動するかもしれない。スレッドでは他にも色々と細かい数字が報告されており、なかなか参考になる。

さて、申請数に対する採用率は DC で約20% なので、申請数に対する内定率は 10%強ということになる。10% という数字は PD の採用率と大体同じであるから——もちろん学振の採否が全てではないが——、これからも仕事を続けていく上での一つの目安、というか目標にはなる。しかし厳しい数字だよな。