- 朝鮮に人参多し先生何がゆえに服さざる

2008/06/27/Fri.朝鮮に人参多し先生何がゆえに服さざる

東京の学会に応募した演題が採択された T です。こんばんは。

またジョー兄に会えるかな。

研究日記

昨日に引き続き、大量の検体の homogenize。無事に終了。来週は RNA の抽出、逆転写、Q-PCR と続く。

職場の健康診断。毎年、尿で引っかかっている。「尿に悪いモノが出ている」というのだが、そんなの当たり前だろう。悪性物質を体外へと放出するために排尿しているんだから。身体に悪いモノをガブガブムシャムシャ摂取しておいて、尿が水みたいだったら困るじゃないか。

ゲーム日記

『剣と魔法と学園モノ。』(ととモノ。) は "Wizardry XTH" そのまんまらしい (絵やエフェクトだけ変えてある)。俺がゲームを発売日に買うのは「"祭り" に参加するため」だが、これは要するに攻略祭り・進行祭りである。『ととモノ。』が新しい要素を欠くゲームであるならば、祭りもヘッタクレもない (「XTH の Wiki 読め」で話が終わってしまう)。

というわけで、『ととモノ。』の購入はしばし見送り。"XTH" はプレイしていないから、いずれ買うつもりだけど、この週末は、まだまだフルコンプには程遠い MHP2G で遊ぶことにする。

御侍史、御机下、拝

元部長氏が「『御侍史』の読みを Google で調べた」と日記に書いておられた。就職したとき、俺も全く同じことをしたのでよく覚えている。「御侍史」の他に、「御机下」という語も使われる。製薬会社の DM などで目にすることが多い。参考に辞書を引いておく。

きか【机下・几下】
脇付 (わきづけ) の一。(相手の机の下に差し出す意で) あて名の左下に添えて書く。案下。

(『新辞林』)

ちなみに俺の机の下にはゴミ箱が置いてある。

「〜拝」という締めくくりもよく目にする。さらなる敬意を表すため、「再拝」「三拝」「九拝」と大袈裟になっていったりもする。ここで、毎度のことだが、夏目漱石『吾輩は猫である』の一節を引用する。苦沙弥先生が郵便を読む場面である。

主人は第二信を取り上げたが「ヤ、これも活版だ」と言った。

時下秋冷の候に候ところ貴家ますます御隆盛の段賀し上げ奉り候のぶれば本校儀も御承知のとおり一昨昨年以来二、三野心家のために妨げられ一時その極に達し候えどもこれ皆不肖針作が足らざるところに起因すと存じ深く自ら警むるところあり臥薪嘗胆その苦辛の結果ようやくここに独力もって (中略) 本校建築費中へ御寄付なしくださると御思召しここに呈供仕り候秘術綱要一部を御購求の上御侍女の方へなりとも御分与なしくだされ候て御賛同の意を御表章なしくだされたく伏して懇願仕り候匆々敬具

大日本女子裁縫最高等大学院
校長 縫田針作 九拝

とある。主人はこの鄭重なる書面を、冷淡に丸めてぽんとくず籠の中へほうり込んだ。せっかくの針作君の九拝も臥薪嘗胆もなんの役にも立たなかったのは気の毒である。第三信にかかる。(中略)

もし我をもって天地を律すれば一口にして西江の水を吸いつくすべく、もし天地をもって我を律すれば我はすなわち陌上の塵のみ。すべからく道え、天地と我と什麼の交渉かある。(中略)
我の人を人と思うとき、他の我を我と思わぬ時、不平家は発作的に天降る。この発作的活動を名づけて革命という。革命は不平家の所為にあらず。権貴栄達の士が好んで産するところなり。朝鮮に人参多し先生何がゆえに服さざる。

在巣鴨 天道公平 再拝

針作君は九拝であったが、この男はたんに再拝だけである。寄付金の依頼でないだけに七拝ほど横風に構えている。

(夏目漱石『吾輩は猫である』)

何度読んでも爆笑する。猫が「拝」の数に拘るのが愉快だ。それから何といっても、天道公平の手紙が秀逸である。彼はいわゆる「電波」な人間なのだが、その病的なテキストを「真面目に」理解しようとした苦沙弥先生は、とにかく意味を汲み取ろうと試みたが諦めて、「なかなか意味深長だ。なんでもよほど哲理を研究した人に違いない。あっぱれな見識だ」と手放しで称賛する。この台詞を読んだ後に、もう一度「朝鮮に人参多し先生何がゆえに服さざる」を見るとまた笑いが込み上げてくる。

面白過ぎるだろ。大好きだ。