最近はあまり実験をしていない T です。こんばんは。
複数のプロジェクトから手伝いを頼まれて、もちろん仕事だから否やはないのだけれど、そのたびに background を勉強したり、するべき実験のプロトコルを調べたり、そのために必要な機器・試薬を調達したり——、そんなことばかりをやっている。実際の実験は我らがテクニシャン嬢 2人にやってもらい、私は、出てきた結果を解析して、また次の実験を検討する。机の前に座ってばかりで、いったい何をやっているのか、という気になることもある。
サイエンスの目的は自然現象を何らかの論理で説明することである。そのためには実験が不可欠であるが、実験そのものが目的ではない。現実問題として、何かを明らかにしようと思えば、資金を調達し、場所を確保し、資材を注文し、何度も実験し、結果を解析し、論理を構築し、論文を発表せねばならない。これら全てを遂行するには、多数の人間が必要になる。大きなプロジェクトともなれば、分業が欠かせないだろう。私は実験を行うことができるけれど、他の事柄でも少しは役に立てる。テクニシャン嬢達はとりあえず実験しかできない (それにやりたくないであろう)。となれば、今のような体制になるのは必然である。私が実験に集中しても、全体としての効率が上がるかどうかは疑問だ。ましてや今は、職業としてやっているのである。
私は研究がしたいのか、実験がしたいのか、ふとそんなことを考えた。