- センセイ

2007/05/15/Tue.センセイ

学生の T です。こんばんは。

研究日記

大学 → 病院。

医者は医者同士、お互いのことを「先生」と呼び合う。学校の教師と同じである。

私が就職した当初、色んな人から「先生」と呼びかけられて面食らった記憶がある。その度に「いや、私は医者じゃなくて……」と説明していたが、どうも違うな、と思うようになった。

というのも、他ならぬボスからして、私のことを「先生」と呼ぶからである。こんなおかしな話はない。要するに、医者の世界において、「先生」という呼称は敬称でも何でもなく、単なる人称代名詞に過ぎないのである。相手が何者であろうと (肩書きや年齢、極端な話、名前を知らなくとも)、とりあえず「先生」と呼びかければ失礼はない。それが身体に染みついている。だから私のことも一括して「先生」、いや「センセイ」と呼ぶ。言い換えるのが面倒なのだろう。それが利便性に基づく習慣であることを理解してからは、私も一々訂正するのを止めた。

(それにしても、いかに癖とはいえ、ボスはメールでも私のことを「先生」と書く。会話ならともかく、文章にまで及ぶこの習慣は、ほとんど病気ではなかろうか。などと一般人の私は思ったりする)

慣れとは恐ろしいもので、今や「センセイ」と呼ばれることに全く違和感はなくなった。あまつさえ、私自身がついうっかり、研究員嬢に「先生」と呼びかけたりする始末である。医者でない私にとって、これは悪癖以外の何でもない。染まらぬようにせねば、と警戒している。