- 水面下の氷山

2006/10/07/Sat.水面下の氷山

寺田寅彦が好きな T です。こんばんは。

「天災は忘れた頃にやってくる」という箴言は、寺田寅彦によるものらしい。出典を調べてみたら、Wikipedia の「寺田寅彦」では、「寅彦の言葉といわれるが、著書中にその文言はない」と書いてある。

「本当に最初に言ったのは誰だ」とか、「『寺田寅彦の言葉だ』と嘘をついたのは誰だ」とか、無数の疑問が浮かぶ。唯一わかるのは、「寺田寅彦が言いそうなことだ、と多くの人が思ったから風説が広まった」ということのみである。イメージはこのように形成され、膨張していくんだなあ。

研究日記

病院。

細胞に異なったウイルスを 2日連続で感染させたのだが、どちらのウイルス由来のベクターもしっかりと発現していた。つまり時間差で遺伝子を発現させることができるわけで、これは使えそうである。

一口に細胞、ウイルス、ベクターといっても様々な種類があり、それぞれで感染や発現の効率が異なる。プロトコルが複雑になればなるほど、再現性を得るのが難しくもなる。地味な予備実験が後々に効いてくるわけだが、このようなデータが表に出ることはほとんどない。ときに膨大な数になるこれらの結果は、水面下の氷山のようなものだ。

どのような分野の事柄に対しても、水面下が覗けるようになれば大したものだが、それはなかなか難しい。