- すべからく〜べし

2006/09/05/Tue.すべからく〜べし

嘔吐する夢を見た T です。こんばんは。

夢の中で酒を呑んで吐くというのだから始末に悪い。寝る前に呑んでいたわけでもないのに、何であんな夢を見たのか、不可解である。

すべからく

大塚英志『戦後民主主義のリハビリテーション』を読んでいると、彼が「すべからく」を「全ての」の意味で誤用している箇所が散見され、妙に気にかかった。この誤用は有名であるし、何もそのことについて揚げ足を取ろうというわけではない。が、何となく大塚英志らしくないな、と思ったので。

「すべからく」の誤用について最初に論じたのは、俺が知る限りでは澁澤龍彦である。その名も『すべからく』というエッセイにおいて、「すべからく」が誤用されている例を列挙しながら、その遠因を唐十郎に求めている。彼の評論集において「すべからく」が頻繁に誤用されているのを発見した澁澤は、「やぱり唐十郎は一種の天才なのかな」「破壊というよりもネオロジスム(新造語)かな」と述べているが、誤用自体に関しては皮肉たっぷりに書いている。澁澤らしからぬ噛み付き方で、そこがまた面白いのだが。

このエッセイの正確な初出を調べることはできなかったが、このエッセイを収録する『太陽王と月の王』が出版されたのは 1980年であり、つまり俺の生まれる前から「すべからく」の誤用は広まっていたことがわかる。今では、「すべからく」の正しい用法が「すべからく〜べし」であることは有名になった感があり、「よく知られた誤用」といういささか奇妙な地雷として、日本語文章を査定する機能を負っている。

「すべからく」の誤用が有名になったのは 2ちゃんねるにおいてではないか、という印象を持っている。「すべからく」が誤用されると、かなりの確率でそのことが指摘される。「2ちゃん語」として、誤用に新しい意味を積極的に付加する傾向がある一方で、日本語に対して割と保守的な一面も 2ちゃんねるにはある。「的を射る・当を得る」「汚名挽回 (正しくは汚名返上)」なども、間違えると必ず指摘される。敬語の誤用にもうるさい。指摘のための指摘が多いけれど、地味に強い影響があるんじゃないかとも思う。

研究日記

終日病院。

エアコンや冷蔵庫の修繕だとかで、何やら騒がしい。最近、色んなモノで不具合が発生し、頻繁に修理している。基礎体力のなさを見るようで、何だかなあ、という気もするが、研究所はいまだ立ち上げ途上の部分が少なからずある。こういったことは、その都度一つ一つ潰していくしかなく、そのときサボれば必ず後でツケがやってくる。

明日からボスのお供で韓国の学会へ。百貨店で旅行用鞄を買って帰る。前日にかよ、と皆に突っ込まれた。