初めて ECL plus を使った T です。こんばんは。
ECL plus って、独特の匂いがあるんだな。そういえば、「TEMED と 2-ME、どちらが良い匂いか」という話をしていたら、「どっちも臭い」と一蹴された。そうかなあ。好きなんだけどなあ。
2006年の初セミナー(月曜が休日の週は、水曜にセミナーが開かれる)。「まだまだ残っていると思っていた研究が底を突いていた」とかボスがいう。これで研究せずに済む、というわけにはもちろんいかない。ま、別に心配することのほどじゃないみたいだけど。
雑談の話題は、ヒト ES 細胞の論文を捏造(調査委員会が最終報告)した、韓国はソウル大学の黄禹錫(ファン・ウソク)教授。
韓国ソウル大の黄禹錫教授を支持する集会にマスクを着用して参加した女性。ソウル大は ES 細胞に関する黄教授の一連の論文を捏造と結論付けたが、マスクには「黄博士を信じる」と書かれている (AFP = 時事)。
「信じる」のは勝手だが、それはもはやサイエンスの問題ではない。あるのは事実だけだ。ひょっとしたら、人間としての黄博士は信じるに足る人物かもしれない。しかし、それで体細胞が ES 細胞に変わるなんてことはない。話が別である(それにしても何でマスクなんだ)。
科学研究が何でも「証明」しているという認識は、少々的が外れている。仮説・推論の立て方、データの解釈、観測上の限界など、多くの論文が「誤っている」可能性がある。そこに議論の余地が生まれ、競争のフィールドが出現し、学問が前進する。誤謬の指摘は、むしろ人類にとって大きな喜びでさえある。そうでなければ、我々の世界はいまだに天動説のはずだ。
だが、俺が上述したのは「誤認」であって、「捏造」ではない。捏造は確信犯であり、委員会が最終報告書にこの文字を刻んだ事実をよく噛みしめて考えねばならない。その上でまだ「信じる」というのなら、それは信条の問題であり、俺の関知するところではない。