マウスをサクってきた T です。こんばんは。
働き出してから知ったことだが、実験動物を殺してデータやサンプルを取得することを、俗に「サクる」という。「サクリファイスする」の略である。Sacrifice は「犠牲・生贄」という意味の単語だが、これは動詞でもあることをそのとき知った。また、彼らのための「動物慰霊祭」という行事が行われていることも知らなかった。俺も一度覗く機会があったが、なかなか厳粛な祭事である。
さて、実験生物はどのあたりから尊い犠牲として認識されるのだろう。まさか大腸菌や酵母を「サクる」という人はいないと思うし、線虫でもそのようなことはなかった。ショウジョウバエでもそうだと思う。ゼブラフィッシュはどうなんだろう。一応、ここから脊椎動物だ。アフリカツメガエルは? 爬虫類なら、トカゲが最も用いられているだろうか。やはり「サクる」のか。さすがに鳥類なら「サクる」と言いそうな気がする。毛の有無が重要なラインになりそうだな。
今日は大学で、マウスの sacrifice の手伝いをしてきた。麻酔をかけ、体重を量ってから心臓を摘出する。心臓は重量を計った後、冷凍保存する。生理食塩水に満たされたチューブに移してなお動き続ける心臓を見ていると、色々考えることもある。マウスの尊い命が、などと敬虔な想いになるほどオボコではないけれど。肉屋が豚の気持ちを一々考えていたのでは仕事にならない。そういう意味である。