- 能登半島

2005/11/05/Sat.能登半島

地図が好きな T です。こんばんは。

行ってみたいな能登の国

奥能登に、我が苗字と同じ名前の漁港があるらしい。昨夜、先生と飲みに行った居酒屋の魚の一部は、その港から直送されているという。気になって探してみると、我が苗字と同じ地名は全国のそこかしこに存在する。しかし能登にはない。ひょっとして地名ではないのかとも思ったが、ネット上をどのように探しても情報は得られなかった。幻の漁港である(本当にあるとすれば、だが)。

石川県には、まだ足を踏み入れたことがない。金沢など、行ってみたいと思う土地はある。京都からは、JR 特急サンダーバードに乗れば、七駅二時間強で辿り着く。名古屋に行くようなもんだ。意外と近い。

石川県といえば能登半島である。以下の文章は、でき得ることなら日本地図を御覧になりながら読んでほしい。いつ見ても日本列島は美しい。

日本列島

(北方領土が含まれているのは美学上の見地からで、何ら政治的なメッセージはない)

日本海に錨を打ち込むような能登半島の形状はまことに絶妙である。南に突き出た紀伊半島と呼応し、足りないボリュームは佐渡島と連なることで補いつつ、本州の中心に美しいS字型のラインを描く。ともすれば北海道の巨大さに頭でっかちとなりがちな日本列島がかくも安定して目に映るのは、この仮想的なS字カーブのゆえである。伊豆半島とは点対称の関係にあり、日本アルプスと連動しつつ、本州の中心部に大きな卍を浮き上がらせる。子分のような島根半島との相似にも注目したい。もちろん、能登島を抱く能登半島そのものの造形の素晴らしさは論を待たない。

土地が人文を決定する

能登は興味深い土地である。今日、石川県の観光資源が集中しているのは金沢を中心とする地域であろうが、それは加賀であり能登ではない。能登は古来より大陸との往来が繁かったと考えられており、江戸時代には北廻船の寄港地として栄えたという。海洋と関係が深く、それはひとえに能登半島の形状によるものとしか思えない。土地が人文を決定する良い例であろう。

日本列島は海岸線から内陸に至るまで、驚くべき奇観を豊富に内蔵している。そしてしばしば、その土地の性質そのものが日本人に決定的な影響を与える。京都は風水の条件を満たしていたがために都となったし、富士山は、ただ単独でそびえ立つゆえに霊峰となった。富士山は日本一標高の高い山だが、これは単なる偶然だと俺は考えている。例えば、日本アルプスに富士山より高い山があったとしよう(この仮定はそれほど不自然ではあるまい)。しかし仮に富士山が日本一高い山でなくとも、我が国の至峰は富士山しか考えられない。それは、かの山が孤貴として単立するその風景に、我々が聖を感じるからである。古代人なら尚更だろう。

……能登からエラく話が遊離してしまった。が、地図を見る楽しみはここにある。