- 読書メモ

2005/06/04/Sat.読書メモ

T です。こんばんは。

読書日記

ここ数日に読んだ本。

友成純一『覚醒者』を読む。ホラーの帝王がクトゥルフ神話に挑んだ意欲作であるが、本書はまだその導入部。とはいえ、作中で展開される異様なイメージには圧倒される。続編が待たれる。

前橋和弥『センス・オブ・プログラミング! 抽象的に考えること・データ構造を理解すること』を読む。いわゆる特定言語の解説書ではなく、それ以前の、プログラム全般における基礎的な心構えを説いた本。「同じことを書くな」「即値を書くな」など、わかっているけどなかなか実践できない事柄に対する戒めには耳が痛い。プログラムを書くこと = 抽象的な思考を行うこと、という視点が貫かれており、プログラミング以外にも応用可能な考え方は役に立つ。

綾辻行人『暗黒館の殺人』(上・下)を読む。良くいえば綾辻行人の集大成、悪くいえば寄せ集め。地震と嵐によって閉鎖された奇妙な館、そこで暮らす怪しげな一族、純真で利発な少年、双子の美少女、都合の良い記憶喪失、コピー&ペーストで繰り返し挿入される記憶の断片。安心といえば安心、ウンザリといえばウンザリな綾辻クオリティ。それなりに面白かったが、8年もかけて書いた作品がコレかと思うと、何とも複雑な気分である。

山本弘『こんなにヘンだぞ!『空想科学読本』』を読む。と学会会長が、柳田理科雄の人気シリーズに喰ってかかった批判本。大人げない気もするが、このあたりのバカバカしい生真面目さが、と学会の良いところでもある。「空想科学読本」を読んでおられるのなら、一読して損はない。

森毅『魔術から数学へ』を読む。中世から近世のヨーロッパにおいて、現代数学が誕生する様が平易に解説されている。政治、宗教への言及も多く、数学史というよりは文化史の趣が強い。登場する数学者達も生き生きと描写されており、伝記的な興味も満たされる。