- アミノ酸の話あれこれ

2004/06/10/Thu.アミノ酸の話あれこれ

「理系」「文系」とうるさい世の中だ、と思っている T です。こんばんは。

「理系」を自認する人間に顕著な傾向として、「抽象度の高い概念への深い感情移入」があると思う。数学者が数式を「エレガントか否か」で語る場面は、半ばギャグとしてだが、その典型的な例として広く知られている。ま、そのような感覚だ。

生物学者なら、好きなタンパク質や嫌いな遺伝子があると思うし、化学者なら、元素に好き嫌いがあると想像する。この手の感覚がない人には、全くわからないかもしれないが、そういった理不尽な好き嫌いというものは、確かに存在する。論理的な根拠はない。異性の容姿に対して、それぞれ好みがあるようなものだ。

そういうわけで今日は、アミノ酸に対する俺の好き嫌いを書く。マニアックな話で申し訳ない。

電荷を持つアミノ酸が好きである。中でもアスパラギン酸 (Asp; D) とグルタミン酸 (Glu; E) が群を抜いている。グルタミン酸の「E」など、最高だ。電荷を持っているとは言え、リジン (Lys; K) やアルギニン (Arg; R) は側鎖が長くて気持ち悪い。名前としては、アルギニンの「R」は格好良いのだが。その点、ヒスチジン (His; H) は構造式が良い。

小さいアミノ酸も好きだ。グリシン (Gly; G)、アラニン (Ala; A)、バリン (Val; V) など、どれも可愛らしい。しかし、ロイシン (Leu; L) ほど側鎖が伸びてくると嫌だ。イソロイシン (Ile; I) なんか「死ねよ」とすら思う。ロイシンの「Leu」は、良い味を出しているだけに残念。その意味では、メチオニン (Met; M) も側鎖が長いのだが、途中に入っている硫黄 (S) が絶妙。許す。プロリン (Pro; P) には、「オマエ、本当にアミノ酸か?」と問いたい。キモイよ。

構造式は好きではないのだが、フェニルアラニン (Phe; F) とトリプトファン (Trp; W) は、どちらも名前が素晴らしい。フルネーム、3文字表記、1文字表記、全てが完璧だ。

セリン (Ser; S) とシステイン (Cys; C) も好きだ。構造式、名前とも「優」を付けても良い。特にシステインの「Cys」は高得点。アスパラギン (Asn; N) とグルタミン (Gln; Q) は電荷がないだけに、アスパラギン酸やグルタミン酸に劣る。名前もそれほど良くはない。グルタミンの「Q」は、なかなかチャーミングなんだけどな。

スレオニン (Thr; T) も今一つ。チロシン (Tyr; Y) はイイ線なんだが、構造式が酷似しているフェニルアラニンの評価が高いだけに、どうしても見劣りしてしまう。

……何を書いているんだ、俺よ。