朝の 3時頃(朝か?)に煙草を買いに行ったら、途中にあるパン屋で店主が既に生地をこねていた。オッサン頑張り過ぎ。
この店主ほどではないが、俺も今日は 1日張りきって実験したのだが、結果は微妙。丸きり駄目でもないのだが(むしろ一番肝心なところはクリアだった)自分で納得がいかず。
疲れたぞ! 寝る!!
今週から毎週木曜日の午後はタンパク質の立体構造の講義がある。担当は今年から我が大学に赴任された C先生。タンパク質立体構造解析の専門家である。
俺が研究しているタンパク質は、容易に大量精製できるという元来の性質に加え、カルシウムの結合とともに立体構造を変えるという興味深い特徴を持つため、精力的に構造解析が行われてきた。そういうわけで、俺もタンパク質の立体構造については関心があったし、自分なりに勉強してきたつもりではあったが、いかんせん独学であり、本物の実験現場についても無知である。
タンパク質の立体構造解析には NMR(核磁気共鳴)など幾つかの方法があるが、最も詳細な結果が得られるのは X線による結晶構造解析だと言われている。C先生はまさにこの方法で立体構造を研究されており、希望があれば研究室を案内すると言って下さったので、講義後にお邪魔した。
「これが X線解析装置です」
研究室の中にはどでかいクリーンベンチのようなものがあり、その中にどうやら X線を放出すると思しき装置が据えてある。脇には解析用のパソコンが。
「3千万円くらいですかね。一部中古品でまかなってますが」
マジかよ! フルセット新品で買ったら幾らするのか。
「性能が低くてねえ。タンパク質の結晶ができたかどうか、それとおよその解像度くらいしかわかりません。良い結晶ができたらR研の装置で解析します。あそこの装置はここの1万倍くらいの放射線で解析できますから」
幾らすんだよ、R研の X線装置は! 次にパソコンに映し出されたデータ(テレビの砂嵐を思い出して頂きたい)を見ながら、
C「これが生データですね。ちょっとノイズが多いですが、これがタンパク質の結晶です」
俺「これですか?」
C「いや、それはノイズです。これです。あ、これもですね」
俺「なるほど、これですね」
C「いや、それもノイズです。その隣の。その右はノイズです」
俺「ははあ、これが結晶で、こっちがノイズ」
C「いやいや、だからこれがノイズで、こっちが結晶」
俺「……」
……素人が手出しするもんじゃねえ。
改めて思い知った、知識と技能は別物だってことを。俺もこれからは論文を読んで「ああアレをこうしてナニしたわけね」などと口走らないようにしよう。「言うは易く、行うは難し」である。昔の人は偉いなあ。
昨夜(というか今朝未明)にヒゲマン氏の車で S 海岸へドライブ。海へと突出した岩場(何も遮るものがなくて物凄く寒い)で色々と話を聞いたり聞いてもらったり。青春だなあ。
随分前、トンデモ本に凝っていた頃に買い置きしていた五島勉大先生の著作を読む。超常現象に関して書かれた本なのだが、その中で何度も現れる「零下数千度という超低温」というフレーズが素晴らしい。そいつは確かに超常現象だ。
結局昨夜はラボに行って抗体染色を始めたのだが、この実験って、
固定 24時間、メルカプトエタノール処理 24時間、1次抗体 24時間。
全部 24時間周期じゃねえか。つまり夜に実験を始めると次の処理も夜に始まる。しばらくは深夜徘徊が続きそうだ。駄目人間決定。
(別に全部の処理が 24時間でないとダメなわけではない。が、前回この条件でうまくいったので、あえてそこから外れる必要もない。下手に条件を変えると泥沼に陥るということを、去年の実験でイヤというほど学んだので)
で、今日も日中は仕事探し。何と言っても今日は 2005年度企業採用情報の解禁日なのだ! やはり今年の春にブロードバンドに切り替えておいて良かった。ちょっとダイアルアップでは高機能だがクソ重い就職サイトのページは見れん。ラボで見るという手もあるが、それも問題がありそうだしなあ……(あくまで俺の場合)。
ここ 3日間、我が豪邸に引きこもり、数千件の求人情報を閲覧していたので、目の奥と肩が痛い。
就職サイトなど、たくさん登録しても重複が多くなるだけなので、大手サイトを二つ、あとは理系研究職・技術職に特化したサイトに一つ登録しており、計三つなのだが、それでも膨大な量である。
大手サイト二つは普通の 2005年 3月新卒のためのサイトなのだが、理系専門サイトはそうではなく、即戦力の急募が多くて結構アツい。ここは採用条件もばらばらで、新卒の正社員募集から即日の派遣業務まで、求められる学歴も博士卒・実務経験 5年以上から学歴・経験不問までと様々。煽り文句も「入社即日からポリクローナル抗体の作製!」「タンパク質発現系の構築経験者急募!」など、心躍るものがある。これじゃあやってることはラボと同じ。給料が出るのだから、明日からここでタンパクの実験をやるのも悪くはないと思わせる。
(しかしタンパク発現系を構築できないバイオ・ベンチャーもどうかと思うが)
理系の就職は修士号の有無でエラく差別される反面、技術さえあれば即戦力を欲している所も少なくない、というのが俺の感想だ。
即戦力を募集するなど社内の人材育成がなっていないのではないかと考えさせる反面、文系出身の中年人事部長が正確に昨今の分子生物学研究に携わる人間のスキルが評価できるのかという疑問もある。勿論、業績が伸びて本当に人手が足りないだけであるとか、的を射たサイエンスの技術評価ができる人事部員がいる会社もあるだろう。結局、ケース・バイ・ケースであるとしか言い様がない。
であるならば、こちらとしてはエントリーするなり面接するなりし、相手の反応から実情をうかがうしか術はない。Web 上で簡単に手続きできるという手軽さから、複数のサイトで「オッ」と思った仕事に合計数十ほどエントリーしてしまった。とりあえず唾を付けとけ、という安易な発想であるが、これをしないと何も始まらないのもまた実情。
実を言うと、あまり就職の形態にこだわりがない。俺には一つなりたい職業があるのだが、その職種が毎年募集されるわけでもなく、また競争率も高い。あくまでこの職業を目指すなら、つなぎと言えば言葉が悪いが、そこらへんにゴロゴロ転がっている即日派遣のテクニシャンでもやりながら勉強しつつ時期を待つという選択肢もある。
諦めて一生(という保証も既にこの国にはないが)の仕事を探す場合でも、仕事内容と待遇に納得し、なおかつ向こうが採用してくれると言うのなら、特に修士号にもこだわるつもりはない。中退上等。学士は持っているのだし、何の不都合があると言うのか(実際、エントリーした中には来春から、あるいは年明けからというものもある)。
……今日も長くなってしまった。ま、他人の就職活動日記というのは同じ境遇にある人間にはとても面白いもので(実に「就活日記 Web リング」なるものが存在する)俺も他人のサイトの日記を参考にしたり励まされたり。そんなわけで、これからもちょくちょく就職活動日記を書いていくつもりだ。
さて、次はどんな夢を見るのか……などと呑気なことを書いていたが、物凄い夢を見てしまった。悪趣味な上に長いが、記念に書いておこう。
俺は数人の同志とともにどこかに立てこもっている。仲間は高校生くらいから中年まで、全員が男だ。立てこもるといっても全然緊迫した状況ではない。部屋は 8畳くらいの広さで、そのほとんどがベッドである。その目茶苦茶デカいベッドに男数人がごろごろしている。大半は眠っている。その他のスペースは大人数のキャンプで使うような、汚い革の巨大なバッグで占められている。であるから、印象としての部屋は狭い。
俺を含め、同志は皆ホモである。このとき起きていたのは俺ともう一人、同年代の男だけであった。皆が寝ているので、俺は退屈のあまり同志の荷物を覗いたりしている。俺が検分していた荷物の持ち主(中年)のことを「XXさんは『わだつみ会』の人だよ」と、起きている同志が教えてくれる。
この男と俺は今後の身の振り方を考えている。どうやら俺達は完全に包囲されているらしく、勝ち目は万が一にもないらしい。その割に男は「甲州の連中は降伏してくる者の取り扱いには慣れているから」などと楽観論を述べている。表に人の気配はない。
俺の隣に寝ているのは同志で最年少の高校生くらいの若者だ。短パン一丁で寝ている生白く細い身体の持ち主で、時代劇に出てくる小姓を思い出してもらえば大方間違いない。彼は俺達おっさんホモ集団のアイドル的存在なのだ。こいつが半睡状態で、ときどき寝言を言う様が非常に可愛い。愛しさが募った俺は、うつ伏せになっている彼の膝の裏を舐める。半覚醒状態の彼は「何だよ……」などとタメ口をこぼすのだが、もう1人の男が「何ですか、だろ」とたしなめると「すみません……」と寝ぼけながらも訂正するのもまた可愛い。
男が小姓に「ちょっと外に出て敵の一人でもトマブシに斬ってこい」と冗談めかして言った。
すると半裸の小姓が手近にあった日本刀を片手にガバッと起き上がり、部屋の戸(壁面いっぱいのガラス戸だったが、今の今までそれがあるとは気付かなかった)を全開にし、勢い良く表へと駆け出した。「あちゃあ」と俺は思った。ここから出ることは、俺達を包囲している敵の銃弾に身を晒すこと、すなわち死を意味する。しかし同志の死を目前にして俺には何の感慨も湧かない。一人くらい死んだ方が俺達が投降しやすくなるだろうと思っている。
表は砂利道で、20 m 先に 1軒の民家がある。民家の右側は竹薮になっており、そこに敵が潜んでいる。案に相違して銃声は聞こえなかった。たまたま見つからなかったのだろうか。小姓はこちらを向いている民家の玄関の陰に隠れる。そんな所に身を潜めても敵からは丸見えであり、彼が銃弾の餌食になるのは時間の問題と思われた。
ところが、彼の意識は民家の玄関の中に集中しているらしい。よく見ると、すりガラスになっている民家の玄関の戸の向こう側に白い人影が見える。どうやら敵はそこからも俺達の動静をうかがっていたらしい。小姓の注意はその人影に向いている。
ここにきて、ようやく俺は同志の言った「トマブシに斬る」という言葉の意味がわかった。それは「ふすま越し」のことで、この場合、小姓がガラス戸越しに人影を斬ることなのだ。ところが、意を決した小姓はガラス戸をガラリと開けてしまったのである。
玄関には白いシャツを着た小さな男の子がびっくりした顔で立っていた。
まさかそんな少年が、俺達の立てこもっていた近くにいるとは思ってもいなかった。付近の住民は退避し、ここにいるのは俺達と包囲している敵ばかりだと信じていた。
そして小姓は奇声を発しながら日本刀で少年を斬った。
少年は玄関の奥にぶっ倒れたようで、俺の視点からは見えなくなった。しかし、小姓がしつこく少年を斬りつけているであろうことは、彼が発し続ける奇声から容易に想像がついた。正気の沙汰ではない。離れているはずなのに、血生臭い音が絶え間なく聞こえてくる。気分が悪くなった。
俺はベッドの上で体勢を変え、民家の玄関が見えない位置に移動し、そこでガタガタと震える。その位置から玄関は見えなくなったが、手前の砂利道は見えていた。しばらくすると、その砂利道を少年の姉と思われる女の子が駆けてくる。しかしつまずいて転んでしまう。女の子は自分の肩越しに振り返る。
一瞬後、女の子の背後に現れた血まみれの小姓が容赦なく彼女に日本刀を振り下ろした。
小姓は何度も何度も斬りつける。狂っているとしか思えない。「オエっ」と自分がエヅく声で目が覚めた。
……何て悪趣味な夢なのだ。何でホモ?(しかも男の膝の裏を舐める俺!)それに「わだつみ会」に「甲州」って、時代は無茶苦茶やし。しかしそれでも前半はホノボノとした雰囲気が漂っていた。一転、後半はバリバリの惨殺劇である。あまりにもリアルで吐きそうになった。マジで。
炬燵、恐るべし。
炬燵で寝ると眠りは浅いが心地は良いので、毎年この季節には様々な夢を見る。
今朝方の夢では、O君と話をしながらひたすらチューブをボルテックスし続けていた。一つのチューブをボルテックスし続けているので、当然チューブは削れ、周囲にはプラスチックの粉末が積もり始める。それを見ながら「嗚呼かき氷みたいだ」と思ったところで目が覚めた。
昼寝の時には久々に就職の夢を見た。今回は既に就業しているタイプの夢で、俺はとあるソフトウェア会社に勤務しているのだが、書き上げたソースコードをコンパイルして CD-ROM に納めようとすると数KBほど容量をオーバーしている。今更プログラムを変更できないので、ソースコードの余分な部分を圧縮しなければならない。といっても余計なところがそうそうあるわけでもなく困っていたところ、部長さん(何故かその人は俺の中で「部長さん」として認識されている)が来て「これは、XX を外部化して XX で呼び出して云々」と言いながら、少しソースをいじったところ、見事目的の容量に減量することができた。
俺が「すごいですね」と感心すると、部長さんは「昔のコンピュータは容量が少なかったから誰もが減量化のテクを開発するのに必死だった。そこから新しいプログラミング技術が出てきたりもした。今は大容量化が当たり前になって、自由にプログラムすることに時間が割けるようになったが、同時にプログラマーの水準も落ちた」と淡々と語る。一見、ただの昔話・自慢話にしか聞こえないが、目の前で超絶テクを見せられた後なので、俺は感嘆することしきりである。
無事に仕事が終わり、部長さんが「飲みに行くか」と誘ってくれた。俺は「ああ焼き鳥食いてえ」と思ったところで目が覚めた。
今夜はまた、どんな夢を見るのか楽しみだ。
炬燵こたつコタツ。ついに炬燵を出した。暖かい。
座って良し、うつ伏して良し、寝て良し。三拍子揃った炬燵こそ、ついに日本家屋が完全に西洋式へと移行できなかった最大の理由ではあるまいか、などと上半身を温かい天板に投げ出し、炬燵を抱きしめながらそう思う。
いくら椅子に座って飯を食い、夜はベッドで寝ようとも、日本の冬は炬燵なしには考えられない。座椅子、座布団、畳、これらが消え去らなかった理由はひとえに、冬の住まいに炬燵を顕現せしめるためではなかったか。炬燵万歳。
昨日アップした表紙画像はルネ・マグリットの "La condition humaine"(人間の条件)という作品を 3D で再現しようとしたものだが、完全には(特にパース)再現できてはいない。これは俺の腕の未熟さもあるが、それ以前に絵画特有の「二次元の嘘」とでもいうべき問題があるからだ。
ある種の絵画や、特に昨今の 3D CG が、その手法で写実性を追及することに意味があるのか、と思うことがある。いくらリアルにしたところでカメラやビデオに敵うわけがない。であるから、芸術としてはそこに写実性プラス・アルファがなければいけないと思うわけだ。そういう意味で、あり得ないものを徹底して写実的に描くというシュール・リアリズムの考え方は非常に面白い。
俺が好きなマグリットやダリ、エッシャーなどが(一括りにするのは乱暴だが)活躍した時代に 3D CG というものがあれば、更なる傑作が生まれたのではないかと夢想する。まあ、芸術家というものは時代を先取らねばならないものだが。
分野を飛び越えて時代を先取る者のことを、これ天才という。否、先取る、などという生易しいものではない。彼等には未来が見えているのである。俺は前からピカソがキュビズムで描くところの顔の絵から、実は彼がアインシュタインの相対性理論を知っていたのではないかと疑っている。ピカソの顔の絵は、モデルを右顔から観察しながら、見えるわけがない裏側の左顔までがキャンバスに展開して描かれてある。
ところで、相対性理論によれば亜光速(光速以上だったか? 物理には暗いのでそのへんは勘弁願いたい)で移動すると、物体の表側だけではなく、空間の歪みから裏側までが同時に見えるという。その光景を表したイラストを目にしたことがあるのだが、それは全くピカソの描く顔の絵と同じ構造であった!
ピカソの目には光速の世界が映っていたとしか俺には思えない。こういうのを天才というのだなあ、としみじみ思ったという昔話。
最近、やたらと携帯電話のメールが増えて困っている。メールといっても知り合いからのものではなく、いわゆる出会い系サイトからのものだ。
「たわわな巨乳を持て余している人妻でいっぱいのサイト」
「ヤリたい盛りの女子高生を即日 GET!」
「意外と近所にいる……? 貴方のメッセージを待っているお姉さん達」
まあ、文章は稚拙といえば稚拙、練られているといえば練られているようにも思えるが、とにかくどれも味わいがあって面白い。頭を絞って書いている様子が目に浮かぶ。
「意外と近所にいる……?」って、いねえっつうの。
これでもう少し受信頻度が下がれば楽しめるのだが、いかんせん、睡眠中食事中実験中を問わず、ブルブルブルブル携帯電話が震えるのでウザいったらない。しばらく電源を切って生活してみるか。ほんの数年前まで、ほとんどの人が携帯電話を持たずに生きていたわけだし。
今日は論文を 1万字ほど書いて指の関節が痛い T です。こんばんは。
単純に 1万字といっても、推敲などで削除・追加した分、矢印キー、コマンドキーなどを考えると、優に 2万回は打鍵したのではないかと思われる。
今朝は 7時に吉野家で牛丼をかき込んだ後、実働 10時間ぐらいで書いていたので、1時間当たり 2千回。ノリノリですな。早起きしたから途中で眠くなるかとも思ったのだが。この調子で一通り書き上げたいものだ。まずは形にしないと話が進まない。
この日記の読者から鋭い指摘があったので御紹介する。俺の日記には周期的な内容の変遷が見られるというのだ。
前向きな実験の日々 > 徐々に増えていくラボへの不満 > 実験とは関係のない日記 > ぷっつりと途絶える更新 > 日記再開
……だそうです。
晩飯に D嬢に温めてもらったコンビニ弁当を食っている T です。こんばんは。
かなり寒くなってきた。我が豪邸は南が山で北向きに建っており、まあ見晴らしは良く夏も涼しいのだが、いかんせん冬になると寒くてしょうがない。おまけに日照時間が極端に短くなるので、ただでさえ乾きにくい洗濯物を何日も部屋に干しておかなければならなくなる。学部生の頃など、
「洗濯物が乾かなくて着て行く服がない」という理由で休んだこともある。
全然関係ない話だが、美女の皆さん、後ろにカゴのついた自転車には乗らないで下さい。もう生活臭がプンプン漂ってきて美人度 200% ダウン。勝手なお願いですまん。でも激しく萎えたので。
2、3日更新せずにいる間に論文を書かなければいけないことになった T です。こんばんは。
以前から論文を書け書けと騒いでいた K先生、それをのらりくらりと流し続けていたのだが、どうやら今回は本気のようで、ついに「実験をストップして 12月までに書け」という最終指令が。俺はまだまだ受け流すつもりだったのだが、K先生はデスクまで寄ってきて「投稿規定が」「ジャーナルが」とうるさいので、とりあえず書き始めることに。いまだに「まあ練習で」という気分なのだが、それでもマテメソ(実験材料と方法)とアブスト(要約)を書き終えた。
卒論などと違い、現在書いているのは査読者のいる国際誌に投稿するための英文であるため、まあ色々と面倒臭い。自分の研究が面白みや意味がないものとは考えたくないし、実際、端にも棒にも掛からないとまでは思わない。論文が出れば嬉しいだろうし、Dr. T にはずっと恩返しがしたいと思い続けていたので、これはチャンスであることには違いない。
しかしそれでもモチベーションが低めで安定しているのは、K先生が投稿しようとしているジャーナルのハードルが極めて高く、今のままでは誰が書こうとも採用されないことが確実だからだ。徒労になる(丸きり無駄とは言わんが)と分かり切っている作業を行うのは、正直苦痛である。
「ジャーナルの格付けなんて関係ないよ」という威勢の良い言動とは裏腹に、K先生は物凄いブランド志向である。この傾向はジャーナルだけに留まらない。
俺に残された時間は就職活動をしながらの 1年半。これまでの例を見るにつけ、パブリッシュの可能性はまずないと見て間違いはない。
昨日から始まった吉野家の「3杯食べれば 1杯タダ」のキャンペーンにおいて、すでに 3枚の牛丼カードを収集し、明日は無料牛丼でウハウハの T です。こんばんは。
とにかく今日は眠かった。睡眠3時間ほどで朝からラボに行った。まあ、こんなことはよくあることで、午前中はそれほど眠たくもなかったのだが、昼飯を食った後に急激に睡魔に襲われる。ところが俺とて大事な抗体染色の実験中、特に今日は検出を行う予定だったので、とても眠るどころではない。しかし、それにしても何で抗体を使う実験というのは、こんなにもダラダラと時間がかかるのだ!
ついに 2次抗体反応中に居眠り。30分ほど時間をオーバーする。
駄目だ、これでは。ただでさえ抗体染色は初めてだというのに。ところが何と! 免疫染色を一発で成功。無論まだ改善の余地はあるが、充分綺麗に染まっていた。抗体を使った実験が一発で成功したなんて初めてだよ、俺は。
晩飯に Dr. A、B氏、ヒゲマン氏と吉野家に行く。食ったところで眠さ倍増。そのまま帰宅しようと思ったのだが、ラボに携帯電話を置いていたことを思い出し、戻ることに。こういう流れになると、何だかんだで長居する場合が多く、今夜もその例に漏れなかったのだが、あろうことか椅子を並べて横になったまま、2時間ほど爆睡。目撃していた Dr. A、ヒゲマン両氏によると、
「寝てるというか、意識を失っていた感じ」
だったそうだ……。御迷惑をおかけしました。
そういや、R女史がついに論文を投稿。とりあえず、お疲れさまでした。
愛は季節とともに移り変わる。2、3ヶ月前までは鬱陶しくて足蹴にまでしていたものが、近頃めっきり愛おしくなってきた。抱きしめたくて仕様がない。このままでは、寒くなる頃には一緒にいないと眠れなくなりそうだ。……布団のことですよ。
最近は実験で線虫の写真を撮ることが多い。俺は写真やフィギュアは美しくないと嫌なのだが、綺麗に撮影しようと思うと結構手間暇がかかる。
俺の実験結果で最初に写真が要求されたのはウエスタン(タンパク質を抗体で検出)であった。K先生はデータを見るよりも先に、バックグラウンドがないか、他のバンドがないかといったことに目がいく方だったため、写真に対しては非常に神経質になってしまった。ウエスタンなんか、ジャーナルなどを見ても案外と汚い写真が平然と載っていたりするのだが。まあ、おかげで学会なんかでも「綺麗なデータだね」なんて言ってもらえたりするようにはなった(ま、半分は世辞だろうが)。
線虫の写真の場合、ノマルスキー顕微鏡を使ってデジタルカメラで撮影するのだが、これが奥が深くてなかなか面白い。昨日は自分でも満足いく写真が撮れたので、プリントアウトしたものを一人で眺めてニヤニヤしている。
今は線虫を免疫染色しており、明日が初めての検出となるわけだが、また 1枚のスーパーショットを求めて試行錯誤を繰り返す日々が続きそうだ。
今日は N.N.嬢お手製のスイートポテトを喰らいました。ごちそうさまでした。食い物には必ず頭を下げる T です。こんばんは。
A氏改め Dr. A、ヒゲマン氏と共に、久し振りに昼飯を飯屋R で食べる。この店へ 12時過ぎに訪れると、必ず「昼どき日本列島」という番組が見れる。地方局のアナウンサーが地元のイベントや名産などをレポートする、いなたい番組である。今日は滋賀県甲賀より、今週末に全日本忍者選手権が開催される忍者村を案内するという企画であった。アナウンサー 2人の案内役は忍者村村長にして忍者のオッサン。……実にいなたい。
この番組を見るといつも、日本はまことに平和な国であることよという感慨を新たにする。
今日は N.N.嬢お手製のケーキを頂いた。ごち。食い物には必ず礼を欠かさない T です。こんばんは。
毎週火曜日恒例の我がラボのセミナー、今週は俺が論文発表の番になっており、午前中から我が豪邸で用意をしていたのだが、途中で面倒臭くなって「ああダルい」と布団の上に仰向けになるも、いやいや、これではアカンと起き上がった瞬間、
何故か 17時 2分を指している時計達に気付く俺。
は? 何で何で? 寝てたのか、俺は。それにしても 17時 2分て貴方。(セミナーは 17時半から)
とにもかくにも寝癖もそっちのけで、必死に自転車を漕ぎまくって学校へ。実はまだセミナーのプリントも作っていないのだ。17時 15分、ラボに到着。速攻でジャーナルを手にコピー室へ。そしてプリントを作り終わったのが 17時 35分頃。既にセミナー室では O君が繰り上げてトピックスを発表していたのだった……。O君、すまん! というかラボの皆様、本当にごめんなさい。
で、O君の発表がつつがなく終わり、俺の出番となったのだ。学会から帰ってきてから一度も昼間に出てこず、久し振りに顔を見たと思ったら、あろうことか自分の発表なのに遅刻! これはいかなる罵声をK先生から浴びせられても弁解の仕様もない。覚悟して臨んだのだが、なんと何もお咎めなし。むしろ機嫌が良い。……何故?
K先生、不気味なんで俺を怒って下さい。お願いします!
ゲームを中古屋へ売りに行き、その金でコンビニ弁当を買う。もう辞めていたと思っていた D嬢がいた。可愛い。久し振りに肉を食う。旨い。
イカナゴで白飯、あるいは素麺という食事にも飽きてきた T です。こんばんは。
一応イカナゴは魚だが小さいし、あとは炭水化物ばっかり。2種類じゃローテーションも組めねえ。中一食しかないではないか。これならラボのグルコースで溶液を作ってガブ飲みした方が絶対に栄養がある、と昨夜、大量の試薬を作りながら考えてしまう。所持金は 137円しかないし、困った。缶コーヒーを買ったら終わりではないか。楽しいんだがな、貧乏も。
しかし現在の財政状況で就職活動するのは少し難がある。実家を拠点に関西地方で職を探すのならばそれほど金もかからんだろうが、それにしても。
というわけで、さっきコンビニに足を運び、無料の求人雑誌を 3冊ゲットしてバイト情報を閲覧しているわけであるが、やはり今更ながら新しいバイトに挑戦するのも面倒臭い。というか、バイトに時間を拘束されて就職活動に支障を来すようになればそれこそ本末転倒ではある。やるとするならば短期決戦か。引きこもっているくらいなら 1週間ほど朝から晩まで働いた方が良い。
ところが短期バイトの情報はそれほどない。時期的に大きな動きのある季節でもないし。狙い目はクリスマス、年末年始、春休みか。
何やら貧乏自慢のようで気が引けるが、笑ってしまえるくらいに金がなくなれば、これはこれで愉快なことである。一時期、義兄達と「貧乏論」を闘わしたことがある(何やってんだか。しかし我々は皆、相応に貧乏だった時期もあったのさ)が、誰かの発した明言、
「奢ってやりたい貧乏と、奢ってやりたくない貧乏がある。これすなわち人徳」
これが頭に残っている。まあ「貧すれば鈍す」という状態にはなりたくはないわな。
ついに N.N.嬢からも博士課程進学を勧められた T です。こんばんは。
N.N.嬢と学会やら実験やらの話をしていたのだが、ちらっと就職の話題になり、俺が「そろそろエントリー始まってるよなあ」と口にすると、
「えっ、知ってたん? T君にドクター行ってもらうために黙っとったのに」
……あのなあ。どういう意味やねん! その前に考え方がみみっち過ぎるんじゃないでしょうか。大体、N.N.嬢は就職してラボを出て行くのだから、俺が残っていようがいまいが関係ないではないか。どうしてそこまでして。俺の周りは敵ばかり。もう誰も信じられない。
深夜徘徊を繰り返しつつ、またも引きこもっている T です。こんばんは。
さて、家にいる間に何をしていたのかというと、まずは 9月 27日の夕刻より我が豪邸にて盛大に行われた義兄弟の集い(別名「迷惑かけまくり隊」秋の酒宴)を挙げねばなるまい。今回は特別に、俺が誇る義兄たちの秘蔵写真を公開しよう。刮目して見よ!
御覧の通り、早い話が気違い四人組の乱痴気騒ぎである。
まあ、そんなわけで楽しい一夜であった。また呑みましょう。