- タイの想い出 (8)

2003/01/29/Wed.タイの想い出 (8)

起床からすでに30時間経過。くそ、意地でも体内時計を直すぞ。

昨日の日記で紹介した場外プログラム。社会奉仕は幼稚園の建設手伝い。説明によればこの幼稚園、園児 96人に対し先生 1人。しかもこの先生、毎日 96 + 1人分の昼食を作っているとか。こんな幼稚園の食堂を建設していたのだが、我々はペンキ塗りやタイル貼りをお手伝いしたというわけ。

二つ目の文化遺産見学、植物園に行ってキックボクシングを習うというよくわからない企画。まあ面白かったから良いが。それにしても日本との植物層の違いに唖然。これは後々尾を引く。ところで、この植物園で俺は1週間以上口にしていなかった恋しい飲み物を発見。その名をコーヒー。さっそく売店へ向かい注文する。「何か入れるか?」と聞いてきたので「ブラックや、ブラック」と答えたら、久々に見る漆黒の液体。おお、うまそうだぞよ、と喉元過ぎれば、

「甘い、だだ甘い」

何でやねん、ブラック言うたやんけ。前々から気になっていたのだが、タイ料理はどれも激辛激甘。この2種類しかない。だから「ブラック」っていうのも色だけ。砂糖はデフォルトですか?

さて、そして三つ目の場外プログラム(と書くと全部を 1日でこなしたようだが、さにあらず。各場外プログラムは、どれも 1日がかりの大モジュール。しんどいよ、結構)は、そう、ハイキング。朝 8時、バスに乗せられて出発。同じ国はおろか、同じ隊の班とも分けられて、ゴトゴトと 1時間ばかり乗って山の中。降りたら地図とコンパスと指令書が渡され、強面のオッサンが一言、

「じゃ、ゴール地点で」

「へ?」と面食らっている間にスタッフの皆様は車に乗っていずこかへ。残された俺達。

仕方なく地図を見ると現在地とゴール地点しか書いておらん。あとはひたすら等高線。指令書を見ると「01: スタート地点から方角 255、距離 60 m」なんてのがズラズラズラ、と並んでいる。どうやらこの道順で行けということらしい。面倒やな。隣のオランダ(だったかな)のチームの地図と指令書を見せてもらうと、どうもコースが微妙に違う。結局、全リーダー(このときは 20カ国くらい)が集まって急遽国連ハイキング総会。結論は「全チーム別コース」だってよ。ま、予想はしたけどさ、凝ったことしてくれるじゃねえか、ハイキングスタッフ。

仕方ないので指令書通りに歩き出す。ゴールまで直線距離で 10 km ほどだが、どんなコースを歩かされるかわかったもんじゃねえ。楽しいから良いが。すると、班員の一人が、

班「Tさん、指令書のここ、何て書いてあるんスか?」
俺「こりゃあ、マンゴーやな、マンゴーの木を目指せって書いてあるやんけ」
班「はあ……、で、マンゴーの木ってわかります?」
俺「…………」

今日は絶好のハイキング日和。でも、皆の胸には暗雲が立ちこめていた。(つづく)