- 『100年の難問はなぜ解けたのか』春日真人

2011/06/19/Sun.『100年の難問はなぜ解けたのか』春日真人

副題に「天才数学者の光と影」とある。

ポアンカレ予想とその歴史については、ジョージ・G・スピーロ『ポアンカレ予想』に詳しい。筆者自身が文中で何度も述べているように、本書の数学のレベルはお粗末である。

本書は、グレゴリー・ペレルマンに関係した人物がよく取材されている点に価値がある。ペレルマン本人へのインタビューは実現されなかったが、関係者の証言によって謎めいた彼の人物像が浮かび上がってくる過程は極めて興味深い。

ポアンカレ予想に立ち向かった他の数学者もよく描かれている。クリストス・パパキリアコプーロス、ウルフガング・ハーケン、ウィリアム・サーストンなどが特に印象深い。それぞれが研究者として異なる信念を持ち、異なる道を歩む様には色々と考えさせられた。