- 『変な学術研究 2』エドゥアール・ロネ

2008/08/28/Thu.『変な学術研究 2』エドゥアール・ロネ

高野優・監訳、柴田淑子・訳。副題に「活魚で窒息、ガムテープぐるぐる巻き死、肛門拳銃自殺」とある。原題は "Viande Foide Cornichons"、副題は 'Crimes et Suicides a Mourir de Rire'。『変な学術研究 1』の続編である。

副題にあるように、本書は、法医学などの専門誌から奇妙な自殺 (自傷) の例を集めたものである。

六〇歳の男性が掃除機を修理していた。すると突然この機械がひとりでに作動して、この男性の……性器を吸い込んだというのだ。これは大惨事だ。掃除機はフーバー・ダステット社製のもので、吸引力を起こすためのプロペラが、開口部から一五センチメートルほど内側に取り付けられているという構造だった。男性の亀頭は思いがけない事故によってひどく傷つけられた。病院ではできるかぎりの縫合手術が行われた。

(中略)

この記事を書いた医師たちによると、実はこの男性たちは掃除機を修理したり、掃除をしたりしていたのではなく、「おそらく、性的な興奮を求めていたのだろう」というのだ。(中略)「患者たちはおそらく自分のペニスがプロペラにまで届くとは思ってもいなかっただろう。しかし実際にこの器官が予想以上の長さに伸びてしまった」

(中略)

このような事故を防ぐためには、家庭電化製品のメーカーも、何か使用上の注意を書いたほうがよいのではないだろうか。「マスターベーションにはご使用にならないでください」とか……。

(「6 掃除機の吸引力」)

このような痛々しくもバカバカしい話が 50編も収録されている。

「変な」のは、自殺 (自傷) の方法であり、そしてそれを真面目かつ律義に記載する医学者の研究である。このギャップが愉快なのだ。そして冷静な著者が贈る、フランス風の突っ込み。前作同様、テンポの良い構成で楽しめる。

ただ、とにかく自殺の描写が生々しくて、読んでいると身体のアチコチがムズムズしてくる。薄い本なのに、読むのに随分と時間がかかったのはこのため。1日 1編といった具合に読むのが良いかもしれない。