- 『ニッポンの犯罪 12選』爆笑問題

2008/01/05/Sat.『ニッポンの犯罪 12選』爆笑問題

本書は爆笑問題の「日本史原論」の「犯罪史編」である。ネタにされているのは、

の 12件。

犯罪と、爆笑問題 (というか太田光) が得意とする毒舌あるいはブラック・ユーモアは、一般的には相性の良い組み合わせである。が、どうも本書は他のシリーズに比べてあまり笑えなかった。現実の事件の方が太田のネタよりも面白いのである (笑いとは別の面白さであるが)。

帝銀事件、3億円事件、パリ人肉食事件 (いわゆる佐川事件) などは強烈な印象があり、事件そのものが太田のネタを喰ってしまっている。特に 3億円事件は陰惨でも悲惨でもなく、事件自体がスーパー・エンターテイメントであるのだから、さらに分が悪い。事件 = ネタの選択に失敗したかな、という感想を私は抱いたし、似たようなことを太田自身も「あとがき」で述べている。

一方、石川五右衛門や鼠小僧次郎吉あたりは実像が定かでない部分もあり、また時の流れや後世の創作が事件の印象を牧歌的にしていることもあって、いつもの「原論」的な面白さがあった。

ちょっと惜しい 1冊。