- 『姫』御茶漬海苔

2007/07/13/Fri.『姫』御茶漬海苔

このシリーズは I〜III までの 3冊があるようだが、「I」と「II」しか見付けられなかった。本書は、少しく常軌を逸した女性をテーマにした短編集である。

収録作は「I」が、

  1. 『食べる女』
  2. 『しゃべる女』
  3. 『やさしい女』
  4. 『年上の女』
  5. 『痩せゆく女』
  6. 『自殺願望の女』
  7. 『強い男が好きな女』
  8. 『いじめる女』
  9. 『才たけた女』
  10. 『わがままな女』

で、「II」が、

  1. 『ママという女』
  2. 『家事好きの女』
  3. 『"社会進出" する女』
  4. 『長電話の女』
  5. 『同居願望の女』
  6. 『旅行好きの女』
  7. 『いつわりの女』
  8. 『考える女』
  9. 『まことの女』
  10. 『個性派の女』
  11. 『虫愛づる女』

となっている。タイトルを見ただけで「いるいる、こういう奴」と言ってしまいそうだ。実際、各作品に登場する女性は「ちょっと変わって」いるけれど、クラスに 1人くらいは存在するレベルのものとして (最初は) 描写される。少し冴えない男が、そんな彼女達の「ヘン」を許容して交際を始める。確かに一風変わっているけれど、個性と思えば愛せないこともない。

ところが、彼女達の「ヘン」は徐々にエスカレートしていき、最後には異常の域に達する。本性を見せた女と、それに翻弄される男。最終的に 2人の関係は崩壊するのだが、男が彼女達の異常性に呑み込まれるケースもあるし、我慢の限界に達した男が復讐するというパターンもある。どのような結末にせよ、物語はただ淡々と描かれる。これが良い。

本書を読めば、作者の御茶漬海苔が男性であることがよくわかる。何で女性だと思い込んでいたんだろうな。俺の目は節穴か。