「美術館がもっと楽しくなる」と副題にある。『赤瀬川原平の名画読本』、『名画読本 日本画編』の続編である。
本書に登場するのは近代絵画である。
印象派までは、ふつう一般のお稽古ごとにも重なる世界で、新しさとかオリジナリティといっても、それはほんの茶匙一杯程度の、わずかなものであった。それが印象派以後、絵のリニューアルと自我の膨張とが加速しながら、絵の表現はぐいぐい変化、発展、破砕されながら、現代美術における絵の「消失」へと向かう。
この本に出てくるのは、ちょうどその膨張がぐいぐいはじまった時代の、いちばん美味しい、いちばん面白い、いわば活劇の場面の美術史である。
(「はじめに」)
タイトルにもある通り、取り上げられている名画は全て日本の美術館にある。紹介されるのは以下の 15作。
巻末には、それぞれの絵を所蔵している美術館の簡単な紹介まで付されてある。美術館に足を運びたくなる 1冊。