- 『逆説の日本史 13 近世展開編 江戸文化と鎖国の謎』井沢元彦

2006/06/13/Tue.『逆説の日本史 13 近世展開編 江戸文化と鎖国の謎』井沢元彦

「逆説の日本史」シリーズ第13巻。前巻『逆説の日本史 12近世暁光編 天下泰平と家康の謎』の続きで、初期 (初代家康から 5代綱吉の途中まで) の江戸幕府の政策、及び同時代の文化について述べられている。

江戸時代に官学となった朱子学、あるいは儒教についての井沢節はいつも通り。また、鎖国によって日本が外交下手となり、いかに諸外国との交渉で損をしてきたか、というのも既に他の著作で何度も書かれている。ただ、「鎖国」という言葉は 19世紀になってからのものであり、しかもそれは外国人の記録からの翻訳であった、という指摘には考えさせられた。一般にいうところの「鎖国令」というものを幕府が出したわけではないのである。

俺が興味深かったのは、島原の乱を「浪人による一揆」という側面から捉えた章、徳川綱吉による生類憐みの令が精神的な戦国時代を終わらせたという指摘、千利休によって完成された当時の茶道が掲げていた平等性、などなど。