- 『武術への招待』甲野善紀/井上雄彦

2006/03/31/Fri.『武術への招待』甲野善紀/井上雄彦

武術家・甲野善紀と、漫画家・井上雄彦の対談本。甲野善紀については、一度『表の体育 裏の体育』で紹介したことがある。井上雄彦は、言わずと知れた『スラムダンク』『バガボンド』の作者である。

井上は、剣豪・達人としての宮本武蔵を『バガボンド』で描くにあたり、その身体感覚を自分で捉えられないため、執筆に困難を覚えている。そこで、武術家である甲野に技をかけてもらい、話を聞く、というスタイルを本書は取っている。2人の会話から浮かび上がってくる武蔵像はなかなか面白い。

後半は、環境問題、教育問題と武術の関わりへと話は広がる。このあたりは、以前から甲野が主張していることで、要約すると、「現代では身体が忘れられている」という意見。このへんは養老孟司と通じるものがある (この 2人の対談本『古武術の発見』に詳しい)。