- 『古代天皇の秘密』高木彬光

2006/01/10/Tue.『古代天皇の秘密』高木彬光

『成吉思汗の秘密』『邪馬台国の秘密』に続く、名探偵・神津恭介のベッド・ディテクティブ・シリーズ第3弾。

本作では欠史八代を始めとする古代天皇の謎を中心に、邪馬台国のその後、神武東征、応神東遷、日本武尊の東征、天孫降臨、国譲り、蝦夷の正体などなど、記紀に記載されながらも資料的には空白とされている古墳時代の謎を、神津恭介が解き明かす。

高木彬光説の信憑性は読者の判断に委ねるが、背景となる記紀の描写や関連文献の引用はしっかりとしている。読み物としても面白い。また、神津恭介の神のごとき叡知を称える文章など、古き良き探偵小説の薫りも微笑交じりに味わえる。

どうでも良い話だが、歴史的な名探偵の多くは頭文字が K である、と勝手に俺は主張している。明智小五郎、金田一耕助、神津恭介、御手洗潔、矢吹駆、香月実朝、京極堂、神戸大助……まァ、あくまで俺の趣味による選出だけれども。名探偵論については、またどこかで書いてみたい。

本書を読んで知ったのだが、神津恭介の血液型は O型である。