- Quote: アメリカの新聞制度

2013/02/25/Mon.アメリカの新聞制度

丸谷 ところが、小説というのも一種のジャーナリズムだと考えて、ジャーナリズムによる国家の形成という条件を、現代アメリカの場合にもってくるとすると、たしかに小説も非常に盛んであり、新聞も盛んであった。しかし、アメリカの新聞制度で非常におかしなことは、全国紙というものがないことですね。あるのは地方紙ばかり。それでは全国紙の代わりをするものは何かといえば、『タイム』とか『ニューズウィーク』、あるいは『ライフ』とか、そういう雑誌になる。そこが、アメリカという国がいわゆる国民国家とはちょっと違って、いわば帝国、エンパイアであるということを、非常によく示しているのだと思うんです。

(丸谷才一/山崎正和『二十世紀を読む』「カメラとアメリカ」)